こじれた俺の愛し方

会えなくて

 ところが、ある日からナツは俺の前に姿を現さなくなった。
 連絡も付かず、電源も切れたまま。

 ナツの家も詳しく知らない俺は、どうすることもできずに待つしかなかった。

 ナツを信じたい。
 しかし、しばらく連絡もなく俺にも会いに来ないなんて、こんなことは今まで無かった。

 だとすれば、ナツは俺のもとから逃げたとしか考えられない。

 信じたい気持ちと裏切られたのだろうという諦めは、俺の中で次第に怒りに変わる。

 ここまでの怒りは初めてだった。

 今まで近付いてきた人間はすぐに俺のもとから去っている。

 しかしナツは俺を理解しようとしてくれ、そばにいようとしてくれた。
 俺はナツをなぜか気に入り、縛り付けたいとまで思っていた。

 それなのに、今さらになって!
 今度ナツに会った時には、絶対に逃げられないようにしてやる…!!



 俺は、もちろんナツの通う学校や行きそうな店や場所に、時間を作っては行ってみた。

 いつになったら会える…?

 このまま自分は忘れられてしまうのではないかと何度も思った。

 焦りばかりが募りながら、会わなくなって約一週間。
 ナツの通う学校の近くで、とうとうナツを見つける。
< 24 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop