こじれた俺の愛し方
 力無い様子のナツは、うなだれたまま学校から少し離れた道の広い場所に立っていた。
 そして俺を見つけると俺の名前を呼ぶ。

「…テイキさん…!」

「ナツ…!!」

 俺は素早くナツに駆け寄ると、ナツの手を強引に取り、家に向かって歩き出した。

「わ、私、帰らないと…
「黙ってろ!!」

ビクッ!!

 ナツは俺の怒りの声を聞き、初めから怯えていた様子だったのをさらに震えだした。

 電車に乗り四駅、ナツと俺の家からの主要駅。今日は震えているナツがいるためタクシーで十分弱、俺の家に到着した。


「…騙したな…?」

 家に付くなりナツをベッドに追いやり押さえつける。

「…え…?」

「俺のことが好きだとか言っていたくせに…お前も俺のことを捨てる気になったんだろ…!!」

「…テイキさん…ち、違…」

 怒鳴りつける俺に、ナツは震えたままそう言ったきり。
 なぜか戸惑っているようにも見える。

「お前のことは逃さない…逃げ出そうとすればこの家に閉じ込めてやる…!!やっと捕まえたんだ、逃がすか…」

「…助けて…テイキさん…」

 ナツは泣きながらそう訴えた。

「助けて…?ここには誰も助けには来ない…残念だったな…」

 俺は皮肉を込めてそう言うと、そのままナツを強く抱き締めた。

 自分の表情が卑しく歪んでいくのがわかる。
 前に何度もあったことだったのに、心の中では虚しさよりも悲しみの方が大きかった。
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