こじれた俺の愛し方
 確かに俺は、何も言わずにナツを追い出してしまうほど酷い扱いをしてしまった。
 あれでは普通ならナツは、俺には頼れないと思うに決まっている。

 しかし俺はナツを好きなのだと自覚してから、いっそうナツのことを思うようになった。
 ナツのことが“好き”だったのだとわかった今なら、俺を頼ってくれたナツをどんなことがあっても支えたいと思っているから…

 俺は一歩前に進み出る。

「…どういう意味でしょう?ナツはずっと俺と付き合っている。そしてナツは真っ先に俺のもとに来た。あなたがしつこくて恐ろしい、ってね」

 俺はさらに男を問いただす。

「それに、ナツはあなたが家に閉じ込めようとしたと言っていた。…あんた、ナツに一体何を言った?」

 男は俺の言葉に、俺を相手になどしないと言わんばかりの涼しい顔で返した。

「ああ。僕は、これからは変な輩がなっちゃんに付かないよう気を遣おう、と言っただけだよ」

「…ナツを家に閉じ込めて、か…!?」

 こいつもか。
 最初の男よりもたちが悪いが、こいつも一生懸命に生きているナツを見ようともしないで…

「…そんな、何処のものともつかない輩と暮らそうというのかな?なっちゃん、僕の方が身分は安定しているよ。僕なら君の好きなことをさせてあげられる」

 男は自信ありげにナツにそう宣言する。
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