こじれた俺の愛し方

ナツの想い

「っ、ナツはっ……」

 俺はそう言いかけてやめた。

 もし本当にこいつがナツの叔父で金持ちだとしたら、ナツはこの先ずっと、幸せのままいられるかもしれない。

 俺といて、ナツは幸せになるのだろうか?
 この先も俺といることをナツに拒まれたら、俺はどうなるだろう。

 嫌われても仕方がない。
 でも自分に縛り付けていたい…

 …でも俺の願いは、本当はそうじゃなかった。

 俺を好きでいてほしい。離れないでほしい。
 今までの俺の相手じゃない、他のやつじゃない、『ナツ』に…
 俺の好きになったナツに…


 ナツは真剣な表情で、男に向かって懸命に言った。

「…シンドウさん、私、テイキさんを愛しています!!テイキさんが私のこと、“飽きた”って、“嫌いだ”って言わない限り!テイキさんほど、私自身を見ようとしてくれる人はいません!私は贅沢なんかいりませんから!テイキさんと仲良く力を合わせて生きていきたいんです!!」

 俺は呆然。
 ナツがこれほど俺といることを望んでくれていたなんて…

 男は苦笑いを浮かべる。

「なっちゃん、後悔することになるよ…。それに、目上に向かってこんな失礼な言動をする男のそばにいたら君は…」
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