君と私の秘密
「あっちにお店あるから俺買ってくるよ。
あ、でも1人じゃ持てないから咲恵ちゃん、悪いんだけど一緒に来てくれない?」

「ん?私?いいよ!」

お?これは…。

秋羅くんは積極的だなぁ。

みんなはもう忘れてるかもしれないけど、秋羅は咲恵が好きだからさ!

片思いってやつよ!

「俺も一緒に行こうか?」

こら!真樹!余計なことを言わないの!

でも、これを口に出して言うとなんで?ってなるのは確実だから心の中に閉まっておこう。

「大丈夫。咲恵ちゃんと2人で行くから。」

「ほんとかよ。」

空気を読むんだ真樹。

「真樹、秋羅は大丈夫って言ってるし、ここは2人に任せよ!」

はーい。と真樹が受け入れてくれたので一安心。

秋羅くんと咲恵に各々の食べたいものをいいお金を渡した。

秋羅くん、きっと2人の時間が欲しかったんだろうな。

私が咲恵のこと独占してたからなぁ。

そんなことを考えているとどこからか視線を感じた。

なんか物凄く見られてる。

チラッと視線のする方を見ると、

真っ赤な顔をした真樹と目が合った。

「な、なに、かな?あと、大丈夫?顔真っ赤だけど
ど。」

「べ、別になんでもねぇよ!か、顔が赤いのはあれだ、あの、焼けたからだよ!うん。」

いや、なんでそんなにしどろもどろなのよ。

変なやつ。

「なぁ、お前めっちゃ水着透けてる。それ上着着てる意味あんの?」

「ヒャ!?」

突然耳元で言われ変な声を上げてしまった。

す、透けてる!?

嘘!?

私は慌ててバスタオルを羽織った。

「はは!そんな慌ててバスタオル羽織らなくても大丈夫だっての。別に変じゃねぇし、むしろ似合ってて可愛いぜ。」

「へ?ほ、ほんとに?」

「あぁ。」

「ありがとう。零斗君。」

まさか、零斗くんが褒めてくれるなんて思ってもみなかった。

「ちょっと俺、トイレ行ってくる。」

「あ、うん。行ってらっしゃい!」

真樹、どうしちゃったんだろう。

なんだか、トイレに行くと言った真樹は不機嫌そうだった。

お腹でも壊しちゃったかな?

もしかして私なんかしちゃった?

後で聞いてみようかな。

「なぁ、みぃ。」

「ん?どうしたの零斗くん。」

「ちょっと2人であっち行こうぜ。」

「え?」

零斗くんが指さしていたのは、屋台がいっぱい並んでいる場所だった。

「いいじゃん。ダメか?」

3人とも帰ってくる気配ないし、少しくらいならいいよね。

「いいよ!」

正直、私も屋台が見たいという気持ちがあったため、零斗くんのことはまだ少し苦手だが承諾した。

「よし、じゃ行くぞ。」

「わ!ちょ、ちょっと!」

零斗くんは私の腕をグイグイ引っ張り歩き出した。

「ねぇ、零斗くん。今回は日傘持ってこなかったんだね。珍しい。」

「あぁ?忘れてたんだよ。だから、こうして日陰通ってんだよ。」

「あ、なるほど。」

歩き始めて数分。

珍しく零斗くんが日傘を持っていないことに気づいたのだ。

真樹から聞いたとこによると焼けるのが嫌だからだとか。

今は日陰を通っているとはいえ、屋台があるところはほとんど日陰がない。

「取りに戻る?」

「いい。めんどくさい。」

「そ、そう。」

なしで大丈夫なのだろうか?

まぁ、やけるが嫌って理由なら問題ないか。

「暑い…。」

「だ、大丈夫?」

「ああ、大丈夫。」

この人、今にも死にそうな顔してるけど本当に大丈夫なの!?

「なぁ、あれ何?」

ん?あれ…ああ!

「あれはりんご飴だよ!」

「なんだそれ。」

「え!?知らないの!?お祭りとか行ったことない?」

「ねぇな。お祭りとかも知らねぇ。」

「そ、そっか。食べてみる?」

「うん。」

零斗くんがお祭りを知らないなんて意外だったな。

「すいません、りんご飴1つといちご飴1つ下さい!」

「はいよ!2つで600円ね!ありがとうございましたー!」

ぺこりとお辞儀をし屋台を後にした。

「はい、どうぞ!」

「ありがと。後で金返す。いくら?」

「いいよいいよ!私の奢りってことで!」

「あっそ。てか、お前の形違うくね?」

不思議そうに私のいちご飴を見つめていた。

「これは、いちご飴だよ!私はリンゴよりいちご飴の方が好きだから。」

ふふと笑うと零斗くんはへーっとりんご飴を人かじり。

「甘…。」

「飴で覆われてるからね。苦手だった?」

「いや、美味いし好き。」

「そっか良かった。」

飴を食べ終わった私たちはブラブラと屋台を見て回った。

色々なものに興味津々な零斗くんは、

あれはなに?これはなに?っと色々聞かれた。

その度に私は丁寧に説明をした。

この人は一体どんな環境で育ったんだろうか?

そんなことを考えていると突然零斗くんが隅の日陰によりしゃがみこんだ。

「ごめん…ちょっと休憩。」

「いいよ。」

さすがに疲れちゃったかな?

沢山の人がいるし暑いし、そりゃ疲れるよね。

私はチラッと携帯で時間を確認した。

20分くらいウロウロしてたかな。

咲恵達も戻ってる頃だろうしそろそろ戻らないと心配されちゃう。

5分ほど休憩をしビクとも動かない零斗くんに声を掛けた。

「そろそろ戻ろっか。咲恵達も戻ってきてると思うから。」

………。

え…無視ですか?

「れ、零斗くん?聞いてる?」

「聞こえてる。ごめ…ん。動けない。日に…当たりすぎて…もう…限界。死に…そう。」

「え!?ちょ大丈夫!?って大丈夫じゃないよね!?」

どうしよう!

もう、私は大パニック。

お、落ち着け私!

は!タオル!

私は自分が羽織っていたバスタオルを零斗くんに掛けた。

「え…。」

零斗くんは目をまん丸にしてこちらを見ていた。

「こ、こらなら直接日光当たらないからまだマシかなーって思ったんだけど…ダメだった?ごめん。」

こんなんでマシになるわけないか。

「いや、だいぶマシ。ありがとり。」

あ、笑った。

良かった。

「俺さ…本当は焼けんのが嫌なんじゃなくて日光に弱いんだよな。当たりすぎると熱こもりまくって死ぬみたいな。はは…。」

日光に弱い…当たりすぎると死ぬ……は?

「え、えぇぇぇ!?」

つい大声を出してしまった。

「うるせぇよ。なんだよ。」

「いや、なんだよじゃないよ!そういうことはもっと早く言っといてよ!」

熱こもっちゃうなら冷やした方がいいよね?

でも、近くに自販機ないし…あ!

「零斗くん!ちょ、ちょっとまってて!」

「え?あ、おい。」

私はちょうど目に止まったかき氷屋さんへ急いだ。

勢いで来たけど零斗くん何味がいいんだろ?

うーん。分かんないし、定番のいちごにしよう!

「すいません、いちご味のかき氷1つとください!」

「500円ね。ありがとうございました。」

ぺこりとお辞儀をし大急ぎで零斗くんの所へ戻った。

「れ、零斗くん!おまたせ!」

「お、おう。って何持ってんの?」

かき氷を不思議そうに見つめていた。

「かき氷!熱こもるって言うから冷やした方がいいかと思って…嫌いだった?」

よほど不安そうな顔をしていたのか、

零斗くんはふっと笑って

「そんな不安そうな顔すんなよ。見たこと無いものだったからちょっと不思議だっだけだ。有難く頂くよ。」

と私の頭をそっと撫でてくれた。

ドキッ。

な、なに?今の?

なんからドキッてなったんだけど。

き、気のせい気のせい!

その後零斗くん見事にかき氷を完食した。

「美味かった。ありがとな。よし、お前のおかげで復活したし、戻るか!絶てぇ怒られそう。」

「う…そうだね。」

咲恵…怒るとめちゃくちゃ怖いんだよね。

私は憂鬱な気持ちで歩き出した。
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