君と私の秘密
「お待たせー!」

「おー。俺らも今来たとこだから待ってねぇよ。」

真樹がニッっと笑った。

そんな真樹達は何を買ったのか、手には沢山の袋があった。

「あんたらそんないっぱい何買ったのよ。」

「んぁ?服とか、食いもんとか?」

「あぁそう…。」

「なんだよ。つーか、お前らは?」

「私たちはお揃いのバングルだよ!可愛いでしょ!」

ふふっと咲恵は自慢げに真樹に見せていた。

「いいなぁ、お揃い。」

何故か真樹は羨ましそうに咲恵を見ていた。

「あ、じゃぁ、このお店で5人のお揃い買う?」

咲恵ナイス提案じゃん!

秋羅もいいねーっと嬉しそうだった。

零斗くんは、不思議そうに首を傾げていた。

「いや、5人でしたいわ…「よし!決まり!」」

真樹が何か言いかけたが、咲恵によって遮られてしまった。

そして、楽しそうにお揃いを探している秋羅と咲恵の後ろに

不服そうな真樹と訳が分からないとい顔をした零斗くんがいた。

「真樹は5人でお揃い嫌だった?私は、思い出が出来るからお揃い買いたいなって思って賛成したんだけど…。」

私は恐る恐る真樹に尋ねてみた。

「いや、全然嫌じゃねぇよ!みぃが買いたいって思うなら俺も買いたい!よし!探すぞ!」

え…え??

一体彼の情緒はどうなっているのだろうか…。

で、でも、買う気になってくれたなら良かった?

「なぁ、みぃ。」

「ん?なに?」

うんうんと考え込んでいると零斗くんに呼ばれた。

「お揃いってなに?なにすんの?」

「あ…。えっと、5人で同じものを買うの。それでお揃い!」

「ふーん。」

「零斗くんは、誰かとしたことないの?」

「ない。」

いやまぁ、あったら知ってるよね。

「みぃー!零斗くんー!こっち来て!」

「あ、はーい!行こ、零斗くん。」

咲恵に呼ばれ私たちは駆け足で近寄った。

「このご当地限定のゆるキャラキーホルダーにしよっか!って咲恵ちゃんと真樹と言ってるんだけどどうかな?」

秋羅がゆらゆらとキーホルダーを揺らしていた。

「いいね!可愛い!」

「俺は…なんでもいい。」

「よし!じゃぁこれに決まりな!」

お揃いのキーホルダーと各自渡したい人たちへのお土産を買い私たちの旅行は終わった。


帰りの電車ではみんな疲れて爆睡だ。

次に起きた時にはもう、地元の駅だった。

「んーー!帰ってきたね。なんだかあっという間だったなぁ。」

「咲恵ちゃん、なんだか寂しそうだね。そういう俺も少し寂しいなぁ。」

「秋羅、咲恵!また5人で旅行行こうぜ!だから、そんな悲しそうな顔すんなって!」

なんだかしんみりとした空気になっていた。

「私、とっても旅行楽しかった!また、行こうね!」

私の一言に皆がうん!と頷いてくれた。

「よし!じゃー帰るか!みぃ、咲恵またな!」

「「バイバイ!」」

私たちは各自帰路に着いた。

私と咲恵は方向が一緒で家が近いため帰り道は思い出話に花を咲かせていた。

思い出話をしていると、初日に戻りたくなってしまう。

本当に楽しかった。

またいつか、5人で旅行に行けるだろうか?

行けたらいいなぁ。

「またね、みぃ!」

「うん!またね、バイバイ!」

あ、家に着いちゃった。

早いなぁ。

-ガチャ-

「ただいまー!」

「おかえりなさい。旅行は楽しかった?」

「うん!楽しかったよ!」

「そう。」

ママはニッコリと微笑んだ。

「荷物片付けてくるね。」

そういい自分の部屋へ向かった。

えーと、これは洗濯でこっちは棚で…えーと…。

バタバタと片付けを終わらしお土産を手にリビングへ向かった。

「あれ?ママ、パパは?」

「お父さんならお風呂よ。」

あ、お風呂か。

ソファにでも座って待ってるか。

ママと2人でソファに座り旅行の話をしていると、

ガタっとパパがお風呂からでてきた。

「お!帰ってたのか!おかえり。」

「ただいま、パパ!」

「パパ、娘がお土産買ってきてくれたわよ。」

「おぉ!どれどれ。美味そうじゃないか!」

パパとママが食べたがっていたこしあんたっぷりの
こしあん饅頭を買ってきたのだ。

ふふ、2人が喜んでくれて良かった。

「じゃ、私はもう寝るね!おやすみ!」

「「おやすみなさい。」」

明日からはまたバイトだらけの夏休みが始まる。

頑張ろう。

そう思いながら私は目を閉じ夢の中へ意識を飛ばした。

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