君と私の秘密
翌朝。

「…ぃ…みぃ…おい、みぃ!」

んんーー。

もう、朝…か。

「おはよう、咲恵…ふぁ〜。」

いい加減自分で起きなきゃ、咲恵に悪いよね。

ふぁ〜。っともう一度欠伸をし眠い目を擦った。

「おい、寝ぼけてんじゃねーよ。俺、咲恵じゃねぇーし。」

ん?俺?

じーっと目の前の人を見つめ回転しない頭で考える。

1分くらい掛かっただろうか。

ようやく状況が理解出来た。

「きゃーーーー!!!」

びっくりしすぎたあまり悲鳴を上げてしまった。

「おい、静かにしろ!うるせぇよ!お前の親来るだろうが!」

「ご、ごめん!じゃなくて!なんで零斗くんがいるのよ!咲恵は!?」

なんで!?どうして零斗くんが私を起こしに来たの!?

い、いつも咲恵なのに!

もしや朝から吸血してやろうとかいう魂胆なんじゃ!?

「そんな怒んなっての。咲恵は秋羅と一緒に登校すんだってよ。」

「そうなんだ。ってだから!なんでそれで零斗くんが起こしにくるの!?」

「あ?秋羅がメールで咲恵とお前起こして学校行くつーから、わざわざ遠回りとか面倒かと思ってな。だから、家隣の俺が起こしてくるって伝えて俺が来たってわけ。」

「そ、そうなんだ。ありがとう。」

「おう!」

っとその時。

コンコン。

「みぃ、さっき悲鳴聞こえたし騒がしいけどどうかしたの?大丈夫?」

げっ!ママだ!

ドア越しにママの声が聞こえた。

「大丈夫だよ!ちょっと変な夢見ただけだから!」

「そう、それならいいわ。起きたならそのまま行く準備しなさい。遅刻するわよ。」

「はーい!」

ば、バレてない。

「れ、零斗くん、もう、起きたし帰っても大丈夫だよ!」

「んあ?そうだな。じゃ、俺も準備してくるわ。
お前ん家の前で待ってるから早く降りてこいよ。」

そういい、零斗くんは窓から飛び降りた。

「ちょ、え、零斗くん!?」

慌てて除くと何事も無かったかように歩く姿が見えた。

良かった…死んでない。

朝から心臓に悪いよ。

とか言ってる間に早く準備しないと零斗くん来ちゃうよ!

大急ぎで制服に着替えリビングへ向かった。

ピコン。

誰?

携帯画面を見ると、家の前にいるっとのメッセージだった。

早すぎるよ!

私はママが用意してくれたパンを片手に大急ぎ。

「パンいただきます!そして、行ってきます!」

「急ぐのはいいけど気をつけなさいよ!」

「はーい!」

返事をし慌てて家を出た。

「お、おまたせ!」

「お前…パン持って出てくるとか少女漫画か。」

「し、仕方ないでしょ!零斗くん来るの早すぎて食べる間無かったんだから!」

「はは、悪ぃ悪ぃ!」

ほんとに悪いと思ってる!?

んもう!

私はパンを齧りながら零斗くんの横を歩いた。

学校が近づく頃にはパンは無くなっていた。

「ご馳走様でした。」

「お、やっと食い終わったか。」

むー!

誰のせいで歩きながら食べる派目になったと思ってるのよ!

なんて、怒っていたら後ろから咲恵の声がした。

「みぃ、零斗くん!おはよう!」

「「おはよう。」」

秋羅と咲恵は仲良く登校ですか、いいなぁ。

って、あれ?真樹?

2人の後ろから真樹がひょこっと顔を出した。

どうやら途中で合流したようだ。

「零斗くんごめんね!起こしに行ってくれてありがとう!」

「いいよ、別に。」

「咲恵、零斗くんに頼まなくたって私、自分で起きれるんだから!」

と、怒った顔をすると

「いや、起きれないでしょ。目覚まし消してすぐ寝るんだもん。無理よ、絶対。」

そう、咲恵に言いきられてしまった。

うぅ…言い返せないのがまた悔しい!

「つーかさ、お前ら明日もどうせ一緒に登校すんだろ?それなら、明日からは俺が起こしに行くけど?


「マジ!?零斗くんありがとう!お願いします!」

はぁ!?

こら!勝手に話を進めるなー!

「いいよ!自分で起きる!」

「遅刻する羽目になるんだから、零斗くんの言葉に甘えなって。」

咲恵…ひどいよ。

はぁ…でも遅刻はやだな。

お願いしますと言おうとしたその時。

「ちょ、待ち!」

今まで黙っていた真樹が口を開いた。

「俺が起こしに行く!」

「「「はぁ?」」」

秋羅以外の3人の声が重なった。

秋羅は1人大爆笑していた。

「あはは!面白いね。みぃちゃん、真樹が起こしに行きたいってさ。どう?」

「え、いや、どうって…。」

秋羅のやつ絶対楽しんでるよ。

どうって聞かれても困るものだった。

「お前家遠いんだから俺に任せとけ。」

「は!?早起きすりゃ行けるし!」

「真樹、零斗くんに任せときなって。」

3人でやいやい言い合いしだしてしまった。

ちょっと喧嘩しないでよ…。

って私のせいか。

「ねぇねぇ、みぃちゃんはどっちに来て欲しい?」

いや、どっちにって言われてもね。

正直に言うと…。

「どっちも来て欲しくないです。」

これが本音だ。

「あはは!正直だね。でもこの状況だとどっちか選ばないと学校着いても終わらないよ、たぶん。」

うん、そうだろうね。

はぁ、参ったな。

「有難いんだけど真樹はお家遠いから申し訳ないなって。」

「じゃ、隣の零斗くんに来てもらおっか。」

秋羅はにっこりと微笑んで3人に声を掛けた。

「ねぇねぇ!喧嘩はやめなよ。もう、学校着くからお終い!で、起こしに行く方だけど、零斗くんお願いできるかな?隣に住む君の方が、みぃちゃん的にも気を使わなくていいと思うからさ。」

なんとか上手くまとめてくれた。

「了解。じゃ、明日から俺が起こしに行くから。」

「あ、うん。ごめん。ありがとう。」

ここはお言葉に甘えておこう。

「チッ!」

真樹は舌打ちをしあからさまに不機嫌だ。

「じゃ、また昼休みね!ばいばーい!」

咲恵の言葉でみんな、ばいばーいっと各教室へ行った。

その後、私たちはいつも通り授業を受けた。

とは言っても、私だけいつも通りでは無かったのだが。

というのも、1限目から4限目まで毎時間零斗くんに、

教科書を忘れたから見せろと言われるし、

教科書に落書きして、これなにに見える?とかどう?上手くねぇ?とかめっちゃくちゃ喋ってくるのだ。

かと思ったら人の腕にしがみついて爆睡ですよ。

女子の視線が痛かったんですが。

途中、先生に静かにしてくださいって怒られるし。

なんで起こさないんですか!って注意されるし。

もう、散々な1日だよ。

昼休みとあと2限分乗り切れるかな…。
< 25 / 33 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop