君と私の秘密
〜入学式〜

「あーやっと終わったよ。式長すぎだよ。ほんと嫌い。」

咲恵は私の隣でだるそうにしていた。

「わかる。私も嫌い。」

どうしても式と付くものは眠たくなってしまう。

だから、嫌いだ。

先生の話も長いしさ。

「よしゃ、クラス表見に行きますか!」

「うん!同じクラスだといいなぁ。」

もうお気づきだとおもいますが、私たちは同じ学校を受験し、2人とも見事合格。

そして、無事2人揃って盛月高校に入学できた。

「うーんと、私は…あ、あった!3組!」

「あ!私も3組!」

「よっしゃー!」

咲恵跳ねながら大喜びしてる。

ふふ。私も嬉しいな。

「やったー!」

喜んでいると誰かに声をかけられた。

「あれ?もしかして…咲恵?」

ん?

振り返ると2人の男子がいた。

この人達…誰?咲恵の友達かな?

「ん?誰?あんた。」

え、咲恵友達じゃないの?

誰よ。

「ちょ、おま、まじかー。ショックー。」

「ははは、どんまいだね。真樹。」

「秋羅、お前面白がってんだろ。」

なにやら2人でやいやい言い出したと思ったら咲恵が急に大声を上げた。

「あーー!!え!?もしかして、真樹ってあのチビ真樹!?」

その声に3人でびっくり。

「そうだよ。」

ん?ち、チビしんじ?

「チビって呼ばれてたんだ。」

面白いねと隣の男子は笑っていた。

「ねぇねぇ、咲恵。この人友達?」

私は小声で話しかけた。

「あ、みぃにも紹介するね!こいつ、私の幼なじみ!隣に住んでたんだよね!」

「初めまして、咲恵の幼なじみの風野真樹です!」

「は、初めまして。葵葉未来です。」

「俺は、今日、真樹と友達になった上条秋羅です。咲恵ちゃんに未来ちゃんよろしくね!」

「よろしく、咲恵でいいよ!」

「よ、よろしくお願いします!」

「この子のことはみぃって呼んだげて。」

「「はーい!」」

これが真樹と秋羅との出会い。

それからは4人でいることが当たり前になっていた。

そして現在。

-キーンコーンカーンコーン-

「起立!礼!」

やっと授業全部終わったよ。

ねむ。

「みぃー!帰ろ!」

「うん。」

「「先生さよなら〜!」」

「はい、さよなら!2人とも気をつけかえるんだよ!」

「「はーい!」」

廊下へ出ると真樹達がやってきた。

「みぃ!一緒に帰ろうぜ!」

「うん。」

「ちょっと、私も居るんだけど?」

「あ、居たのか。」

はぁ!?と咲恵。

これもいつもの感じ。

なぜか真樹は最近やたらと私に絡んでくるのだ。

秋羅はというと咲恵絡むことが多い。

まぁ見た感じ多分、秋羅は咲恵が好きなのだろう。

「ほら、そんなとこで言い合いしてないでさっさと帰るよ!」

「「はーい…。」」

私が注意して、真樹と咲恵がシュンとする。

そして、それを見て秋羅が笑う。

これもいつもの光景。

この感じが、この光景が、私は大好きだ。

人は怖いもの。

人間なんて大嫌い。

信用出来ない。

友達なんていらない。

ずっとそう思って人と関わることを避けてきた。

暗くて笑わなくて感情のないお人形さんみたいな人間。

いわゆる陰キャ。それが私だった。

でも、咲恵に出会って悪い人ばかりじゃないんだってことに気づけた。

明るくなれたと思う。感情表現もできてると思う。

真樹と秋羅にも出逢えた。

私は今はとっても幸せなの。

今の私は、幸せ者。

このままずっと4人で毎日過ごすんだろうなぁ。

この時、私はそう思って信じていた。

楽しい日々が続くと。

悲しいことなど何も無いと思っていた。

この先、あんなに辛いことが起こるなんて…。
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