君と私の秘密

転校生

「おはよう!全員席に着け!今から転校生を紹介する。」

教室のあちらこちらから興味津々の声が聞こえる。

あ、そうだったなぁ。

今日は転校生来るって昨日、真樹が言ってたっけ。

「はい、静かに!ほら、入れ。」

-ガラガラ-

「紹介する。転校生の塩野零斗くんだ。」

「よろしくお願いします。」

「席は…あ、葵葉の隣空いてるからそこな。」

「はい。」

みんな小声で噂してる。

あの子イケメンじゃない?とか、私狙っちゃおっかな!とか。

様々な声が聞こえる。

「隣、よろしくな。」

「え、あ、よ、よろしくお願いします。」

なぜだ。

なぜ私の隣、空いてたのよ。

最悪。

ま、関わらなければ何も問題ない。

「えーでは、朝のホームルームは以上だ。」

-ダダダダッ-

「ねぇねぇ!零斗くんって彼女とかいるの?」

「居ねーよ」

「ほんと!?じゃぁ私立候補しちゃおっかなぁー!」

えーずるい!と他の女子たちも大騒ぎ。

「なんか、転校生そうそうモテモテだね。あの子。」

「そう、だね。」

「って、みぃいつの間に席とられてんの?」

「気づいたら押しのけられてた。」

はぁ…と咲恵は盛大なため息をついた。

そう、大量の女子たちによって私は押しのけられてしまったのだ。

なんだか嫌な予感しかしない。

そんな私の予感は見事的中した。

授業が終わるたびに女子たちが押しかけてくる。

よく飽きないよ。ほんと。

-キーンコーンカーンコーン-

「みぃ!飯食おうぜ!」

「いいよ。」

「私も一緒に食べるー!」

「えー…。」

真樹はなんだか嫌そうだ。

仲が悪いのか良いのか。

「俺も一緒に食べようかな。」

にっこりと秋羅は微笑んだ。

いや、お前もかよ!と真樹の鋭いツッコミが入り一同大笑いした。

「なぁ、てかそいつ誰?その机に突っ伏して寝てるやつ。」

「はぁ?昨日あんた言ってた転校生でしょうが。」

「あぁ、こいつが。」

そう言うなりスタスタと塩野くんの方へ歩き出した真樹。

「おーい!お前いつまで寝てんだ!昼休みだぞー。起きろ!」

「んん…なんだよ。うるさいな。」

「お!起きたな!一緒に昼飯食おうぜ!」

「「へ?」」

見事に咲恵と声が重なった。

今なんて言った?

一緒にご飯食べよっていった?

私の聞き間違えだよね?

「俺は別にいいよ。多い方が楽しいしね!」

ちょ、秋羅くん!?

何を言ってるの!?

「はぁ?俺は別に1人で……」

「よーし!ほら、行くぞー!」

何かを言いかけたがそれを無視しグイグイと引っ張り連れて行ってしまった。

「ちょ、真樹!待ちなさいよ!零斗くん嫌がってんじゃん!」

咲恵の言葉も無視。

真樹は何を考えてるだろうか。

「うわぁ〜、やっぱ食堂混んでんなぁ。」

「当たり前でしょ!お昼なんだから!」

咲恵にツッコミをくらい、真樹は、そうだよな…はは。と苦笑い。

実は私たちの学校には、高校にしては珍しく食堂が付いているのだ。

食堂のご飯は美味しくて大人気なの。

だから、お昼は毎日混むんだよね。

「ねぇねぇ、先に席とる?なくなっちゃうかも。」

秋羅にそう言われたので私は、そうだね。と伝え席を探し始めた。

幸いにも1つだけ席が空いていた。

「よーし!じゃ、荷物置いてご飯取りに行こうぜ!」

「「「うん!」」」

「はぁ…まじかよ。」

ノリノリ私たちとは違い面倒くさそうに困った顔をしている塩野くん。

「ごめんね、零斗くん。ちょっとだけ真樹に付き合ったげて。」

はは…と苦笑いの咲恵に対し

「ふっ、別にいいよ。」

と零斗くんは笑った。

「「「「いただきまーす!」」」」

「うわぁ!うま!やっぱり食堂の飯が1番うめぇな!」

「美味しいよね、ふふ。」

「美味しい。って、ちょっと真樹ゆっくり食べなよ!喉詰まるよ!」

「あはは。ご飯も美味しいし、真樹は面白いし、最高。」

「はぁ!?お前バカにしてんだろ!?」

ギャハハと皆で大爆笑。

塩野くんは静かに不思議そうにその様子を見ていた。

「あ!なぁ、お前名前は?」

「え、あ、塩野零斗。」

「零斗か!よろしくな!俺は風野真樹!」

「よろしく。」

「俺は上条秋羅。よろしくね。」

「あぁ、よろしく。」

「そんで……」

真樹は私達のことを楽しそうに紹介していた。

「今日から俺たち友達な!」

「え、あ、あぁ分かった。」

そう言うと塩野くんは「じゃぁな。」と、どこかへ行ってしまった。

今日から1人私達の友達が増えました。
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