冷徹官僚は高まる激愛を抑えきれない~独占欲で迫られ懐妊いたしました~
十日間を、そうやって過ごした。
飽きるまでお互いを貪って、飽きれば市場をそぞろ歩き、海ではしゃぎ、疲れれば眠る。
快楽に慣れ始めた由卯奈は、旅行の後半には自ら俺を求めてくるまでになった。
なった、というか俺がそう仕向けたのだけれど……。
「直利、さんっ」
俺に触れられ、蕩ける由卯奈を見下ろす。
あられもない姿で、結婚式のときと変わらぬ清純そうなかんばせを快楽に染めて、俺を魅了して離さない。
愛してると言いそうになって苦しい。
きっとそんな感情は、「金銭目的」の彼女にとって、煩わしいだけだろうから。
「かわいいな、由卯奈」
快楽にビクビクと身体を震わせる彼女の頭をなでると、安心したように彼女が頬を緩める。たまらなくなって、すべてを貪る。
彼女の細胞ひとつひとつに俺を刻みつけたい。
あえかな声が淫らな夜に溶けていく。
彼女の胎にすべてを吐き出した後、ゆっくりと下腹部をなでた。
「子供、できているかな?」
「……ん」
微睡みながら由卯奈が首を振る。
「生理周期的に、まだかな、と……」
寝ぼけた声で彼女は言う。半分夢の中にいるせいか、素直にそんなことを教えてくれた。
「そうか。まあ、かまわない。楽しむ時間が増えた」
由卯奈をシーツの上、うつ伏せにして腰を持つ。
「……え?」
戸惑う彼女の声に余計に欲情してしまう──……
「なにか欲しいものはないか?」
帰国して最初の夜、完全に油断していた由卯奈を自室のベッドに連れ込んでさんざん喘がせた後にそんなことを聞いた。
「欲しいもの……?」
とろんとした瞳の彼女はゆるゆると首を振る。
「十分です……」
さらさらと髪を梳いているうちに、由卯奈は眠ってしまう。欲しいものがなにもない、って……金銭目的とは、いったいなんだったんだ?
「由卯奈。俺は……」
うまく言葉が続かない。
少しでも君の歓心が欲しくて、プレゼントなんかで機嫌を取ろうとしているんだ。
ほかにどうすればいいのか、わからないから。