冷徹官僚は高まる激愛を抑えきれない~独占欲で迫られ懐妊いたしました~
工場に出ると、スーツ姿の男性が三人いた。真面目そうな眼鏡の中年の人と、少し年若いがっちりした人。その真ん中にいる人物に、私は目を丸くした。
『え、総理大臣……え?』
固太りで恰幅の良い体格に、強面めの男性。おじいさんと言っていい年齢だろうに、まったくそれを感じさせない若々しい雰囲気がある彼は、現職の総理大臣、黒部鉄雄、その人だった。
混乱しつつ彼に近づくと、黒部総理が私に目を向ける。
『小林由卯奈さん』
『は、はい』
『初めまして──と言ったらいいのかな』
総理は軽く眉を上げた。
『わたしは君の祖父だ』