逃げても逃げても追いかけてくるの
夜が迫りつつある日曜日の夕暮れ時。

誰1人として、ベンチに腰掛ける事もなく、

桃が好きだったブランコを漕ぐ事もなく、

私達は夕日に背を向け、
ただ立ち尽くしていた。

ここにいる全員が地面だけを視界に入れ
互いの顔を見詰め合う事なく、
聴覚だけを頼りにする。

「あの時さ……。
桃のクッキー、食べておけば良かった……」

そう呟いたのは陽介だ。
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