逃げても逃げても追いかけてくるの
「架乃……」

誰のものかは分からないけど
すすり泣く声がうっすら聞こえる。


「……死ぬなんて思わないじゃん……
死ぬのなんて普通…………
まだまだ先なんじゃないの……?
桃なんかまだ……17歳だよ…?」

どこにもぶつけようのない
やるせなさと悲しみが混じったような声で
ふれあはそう言った。

「昨日はあんなに、元気だったのに……」
優斗も涙声でそう言った。

ぽっかりと心に穴が空いた私達は
どうしようもない悲しみのぶつけ先を
必死に探しているような、そんな気がした。
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