逃げても逃げても追いかけてくるの

「まるで誰かに…」

「……」

「……取られた、みたいな…、、
……………………もぎ取られた、みたいな…」

もぎ取られたって……、、

そんな残酷な表現で
桃の心臓が無くなった、なんて
考えたくはなかった。

けれど
私が昼頃に見た桃の遺体は
確かに血だらけで、

思い返せば、その血は心臓の辺りから
流れていたような気がする。

あまり思い出したくはない
桃の変わり果てた姿を頭に浮かべて、俯く。

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