逃げても逃げても追いかけてくるの
それからしばらくは、
凛が落ち着くまで、みんな無言だった。

そして、時計の針が11時を過ぎた辺りで
陽介が「……あのさ。」と、口を開き、

「…魅神寺、行ってみないか?」

と、何か決意を固めたような眼差しで
そう言った。

「え?」

「何か…分かるかもしんない、寺なら。」

この無言の間にいろいろ考えていたんだろうなって事がなんとなく伝わる。

「けど森の向こうは立ち入り禁止じゃん…
それに、本当に寺が存在するのかも、
分かんないでしょ?」

ふれあが俯いた顔を上げぬまま、
呆れたように呟く。
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