逃げても逃げても追いかけてくるの
それを見かねてか、清水さんは
痺れを切らしたように

「早くせぇへんとこうするでー。」

手招きをやめて、包丁の先端を翔に向けた。

「それだけは……っ、、やめて下さい!」

清水さんがやろうとしている事を
即座に感じ取った私は
さっきまでの硬直が一瞬にして溶けた。

「じゃあ、はよぅこっちおいで。」

それが狙いだったのだろう。

清水さんは心底嬉しそうだ。
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