逃げても逃げても追いかけてくるの
翔がさりげなく隠そうとする‪”‬何か‪”‬に

私は……
吸い込まれるようにして手を伸ばす。

だけど

空気が触れるだけ。

どれだけ手を伸ばしても
翔が隠したがる‪”‬何か‪”‬に
私の手が触れる事は、なかった。

それどころかどんどん遠ざかる。

あれだけ、望んだ海が……

あれだけ、私達にとって、

希望と化していた海が……

今は私達を、


引き裂いていた​───────。
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