逃げても逃げても追いかけてくるの
8時15分。

いくつかの住宅が建て並ぶ下り坂を降りる。

すると

ユラユラと。

どこからか何かが舞い落ちてきて、

私はそれにそっと手を伸ばす。

すぐに冷たい温度に‪触れ、「あっ」‪と思う。

「桃の花だ…」

呟いた一言は余韻を残す事なく
一瞬でどこかに消えてしまったけど、

今も尚。

手のひらに綺麗に収まり続ける
ほんのりピンクに色付いた桃の花は

可愛らしくこちらを見ていた。
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