逃げても逃げても追いかけてくるの
春、ってなんか、ワクワクする。

なんて思いながら
私は目を細めて微笑み、

また、その桃の花を空に返す。

高く。高く。もう絶対に手の届かない場所へ

舞っていく様子をぼんやり眺めていると、

上空に1羽の白鳥が大きく羽を広げて、
ぐるぐると私の真上の空を翔び始めた。

真っ白な羽根を撒き散らしながら
それは、それは、

優雅に…………。


「ばいばい​───────。」

もう見失ってしまった桃の花に向けて呟く。
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