実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

 誰かがいてくれる生活は思いのほか快適だった。
 まさか、セバスチャンがついてきてくれるなんて思っていなかったけれど、自分が思っていたよりも一人になるのは恐ろしかったのだ、と今さらながら気づく。

「あれ……。あの部屋、まだ明かりがついているわ?」

 なかなか寝付けなくて、諦めてベッドから出てきた真夜中。
 もう街中は寝静まっているのに、魔術師団本部には、まだ明かりがついている部屋があった。

「――――!?」

 こんな真夜中まで仕事だなんて大変だな、と思っていると、なぜか開け放たれた窓。
 そこから少しだけ乗り出した姿を見て、私は息をのんだ。

 淡い水色の髪は、真夜中にそこだけ光り輝いて、まるで水面に映し出された月みたいだ。
 素直に綺麗だと思った。
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