実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
(…………レザールきゅん?)
あれ、どうして第7王子レザール・ウィールディア様に対してそんな呼び方したのかしら?
不思議に思いながら私は小さく首を傾げた。
「…………あの、ご迷惑だったでしょうか?」
少しだけ遠慮がちにこちらを見下ろすその瞳。
私は、椅子から立ち上がり、優雅に礼をする。
「そんなはずありませんわ。今日は、ラペルト殿下はいらっしゃらないようです。ところで、もうお勉強は終わったのですか?」
「もちろん、全て終わらせて来たに決まっています! お姉様に失望されたくないですから」
「さすがですわ」
「ありがとうございます!!」
末の王子で、王位継承権からは遠いと言われているレザール様は、魔力が歴代王族の中でも高く、将来は王立魔術師団長になるだろうと言われている。
勤勉で、幼いながらも魔術に秀で、人格も素晴らしい末の王子は、正妃の子どもではない。
しかも側妃だったお母様は、レザール様を生んだときに命を落としたという……。