実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
パーティーのお誘い
ようやく二人の魔道具談義が終了したときには、すでに1時間が経過していた。
「お待たせしました、フィアーナ」
「いいえ、楽しかったですわ」
本当に楽しい時間だった。
共通の趣味について語り合う、レザール様とロレンス様。眼福だった。
「じゃ、俺は帰るから。またな?」
「ロレンス様……。しばらく王都にいるのですか?」
「ああ、リーフ辺境伯を父上が継いだから、近いうちに祝いのパーティーが開催される。すでに各方面に招待状は送られているが……。もちろん、リーフ前辺境伯夫人として、フィアーナも参加して欲しい」
「……私は、形だけの」
「分かっている。だが、離婚しないままだったから、フィアーナは今でもリーフ家の人間だ」
返答に迷ったその時、そっと手を引かれた。
驚いて顔を上げると、なぜか少しだけ闇を感じる笑みがこちらに向けられていた。
怒っているのとも違うそれは、私の知らない表情だ。
「レザール様?」
「……そのパーティー。俺も招待されているんです。パートナーがいなくて困っているのですが、一緒に行っていただけませんか?」
「――――え? 王子様な上に魔術師団長でもあるレザール様が、パートナーに困るわけ……」
その時、一瞬だけ誰かをエスコートして微笑みかけるレザール様が浮かんでしまった。
なぜか、それはとても嫌だと思ってしまう。