実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
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パーティー会場は、人であふれかえっていた。
いくら国内で有数の軍事力と広大な領土を持つリーフ辺境伯領に、新たな領主が誕生したからといっても、想像以上だ。
(国内の有力貴族のほとんどが集まっているわ……)
私が嫁いだ三年前までは、リーフ辺境伯は、王都のしきたりや流行など知らない田舎貴族だと言われていたはず……。
「すごいですね」
「ええ、本当に……」
「いったい何があったのでしょう」
私の問いに答えることなく、レザール様の思いのほかたくましい腕に掴まっていた手が、そっと引き寄せられる。
「ほら、会場中の注目を浴びていますよ」
「…………覚悟の上です」
王太子との婚約を破棄されて、五十歳年上の辺境伯と結婚し、今は年下の王子からエスコートを受けている。
「……悪役令嬢を卒業して、悪女になってしまったらしいわ」
「悪女? ……フィアーナが?」
クスッと、笑い声がして見上げると、すでにレザール様は王族として感情が読めない表情に戻っていた。
でも聞き間違いなどではない、確かに今のはレザール様の口元からこぼれた笑い声だ。