実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
(そうだったのですね。だから時々、私に誰かを重ねるように……)
どうして、こんなによくしてくれたのか戸惑っていたけれど、その理由が分かって少し安心する。
違う世界の記憶を取り戻した途端に、悪役令嬢として断罪された私は、何も持っていなかったから、濡れ衣を晴らしとても大切にしてくれることが不安でもあったから……。
「…………愛する人と」
「ところで、王都で一つの恋物語が話題になっていますね。父からの手紙に書いてありましたから、全ての力を注いで応援したいと思っています」
「え? 恋物語!?」
そんな噂、耳にしたことがなかったけれど、ものすごく興味がある。
いったいどんな話なのかと、一歩前に出てしまった私は、衝撃の事実を知ることになるのだった。