実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

 ***

 リーフ辺境伯邸は、温かい。
 前世の私も、フィアーナとして生きてきた私も、知らなかった優しさに溢れている。

 私はここで、すっかりぬるま湯に浸かって穏やかに生きて……。いなかった。

 響き渡る爆発音。
 それは、魔力の配分を間違えてしまったゆえに起きた、小さな爆発だ。

「フィアーナ?」
「だ、旦那様、これは……」

 部屋をのぞき込んできたリーフ辺境伯。
 怒られると思って身を縮めていると、そっと頬にハンカチが押し当てられた。

「ケガはしなかったかい?」
「うぅ、申し訳ありませ……」
「…………ふふ」

 なぜか、さも可笑しいとでもいうように笑ったリーフ辺境伯。
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