実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
「レザールきゅん」
幸せであればあるほど、どうしているのかと、彼も幸せだろうかと気になってしまうのはなぜなのだろうか。
あの声が聞きたいと、会いたいと願ってしまうのは、彼が前世の推しだと知ってしまったからなのだろうか。
そんな私の独り言は、リーフ辺境伯に聞こえていたのだろう。
でも、その口から「思い人かな?」とこぼれた小さなつぶやきは、私の耳には届かない。
私の知らない間に、えん罪だったことは次々と証明されていく。
やり取りされた手紙。
リーフ辺境伯が、全ての力を使って、私の無実を証明してくれたのは事実だ。
でも、遠い辺境から出来ることは限りがある。
王都にいる彼が、リーフ辺境伯と手紙をやり取りして、必死になって私のために動いていてくれたことを知るのは、まだまだずっと先の出来事なのだった。