実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
***
(大満足だったはずなのに、どうしてこうなったの?)
私の目の前に積み上げられたのは、見覚えのある魔道具。
ニコニコしている姿から、妙な圧力を感じるレザール様。
「えっと……。これらすべてフィアーナが作ったという情報は正しいですか?」
「……企画は私です。作ったのは違う人ですわ」
「リーフ辺境伯のお孫さんですよね?」
「そうです」
まるで取り調べのような雰囲気。
確かに、私が金銭的な余裕がある理由は、魔道具の開発によるロイヤリティーが入ってくるからに他ならない。
そういえば、ほとんどのことはリーフ辺境伯の孫、ロレンス・リーフ様がしてくれていた。
彼は、とてもカッコいい上に、魔道具開発の天才で、私のひょんなひと言からあっという間に素晴らしい魔道具を作り上げてしまう天才だ。
しかも、最強高スペックでありながら乙女ゲームにまったく関連のないモブなのである。悪役令嬢枠だった私にとっては、安心感が半端ない。
「そう……」
「えっと、知らないうちに違法なアイテムを作ってしまいましたか?」
「そんなことはない」
冷たい表情。すでに、乙女ゲームの中の、あるいは以前知っていたレザールきゅんは、存在しないのではないかと悲しくなる。