実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
「――――ただ」
「ただ?」
「…………フィアーナと、この魔道具の製作者、ロレンス・リーフ殿はどのようなご関係ですか?」
冷たい魔術師団長の表情から、突如覗いた子犬みたいな可愛らしい表情。
私の目の前には、再び愛すべきレザールきゅんがいた。
「……レザールきゅん」
「……きゅん?」
「何でもないですわ? レザール様。えっと、ロレンス様との関係ですか。義理の祖母と孫ですわ?」
「――――祖母と孫。まあ、確かに、その通りですが」
「……あと、ビジネスパートナーですかね? ロレンス様と私に、他に何かありますか?」
「まあ、それならそれで……」
ふいっと、あちらを向いてしまった顔。
その横顔はまさに、レザールきゅんが、照れたり少しいじけてしまったときのスチルそのものだ。
「っ、レザールきゅん!!」
「……先ほどから“きゅん”とは?」
「っ、特別な敬称ですわ!」
「特別……」
つい口に出てしまったものは、仕方がない。
怒られるのを覚悟してチラリと伺う。