いちごキャンディは、譲らない。
「莉奈(りな)、キャンディ」
「ありがと将輝(しょうき)」
散歩ついでに、彼が駄菓子屋で買ってくれたキャンディ。
あたしは迷わず、そのキャンディの山からいちご味を取り出した。
いちごは、あたしの1番好きなキャンディの味。
それを放り込むと、いちごの香りと砂糖の甘い味が舐めるほど広がっていく。
「やっぱりいちごなんだね」
「うん」
「フルーツのキャンディなんて、どれも同じだと思うんだけどなぁ」
確かにキャンディは、砂糖の味が強いけれどあたしはそれでもいちごが好き。
いちごの匂いをちゃんと嗅がせてくれる香料が入っていて、いつも鼻を楽しませてくれる。
だから、優しいミルクよりも、爽やかなレモンよりも、甘酸っぱい香りのするいちごが好き。
いちご味のキャンディは嬉しいけれど、
いちご味の生活が好きかといえば、微妙。