二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
2月14日19時。
いつものように、父親と祖母の位牌と、位牌と一緒に仏壇に置いているA4サイズのノートを香澄はテーブルに置いた
それから、父親と祖母の位牌の前に準備した夕食と自分用の体調不良時食料にしているゼリーをテーブルに並べた香澄は、ノートを開きペンを取り出してから、手を合わせた。
「お父さん、おばあちゃん、今日も1日お疲れ様でした。いただきます」
ここから始まるのが、香澄にとっての家族団欒の時間。
『今日は何があったんだい?』
香澄が覚えている父親の声を思い出しながら、香澄はいつものように父親の言葉をノートに書き記す。
「聞いてよお父さん、もう大変だったんだよ」
香澄は、声に出しながら、同時に自分の言葉もノートに残す。
今日の出来事を香澄はノートに書きながら
「お父さん、おばあちゃんどう思う?」
と合間合間に聞く。
その度に、香澄の中に蘇るのは、ありし日の2人の優しい声。
『それは、大変だったな』
と香澄の中の父親は慰めてくれて
『ほら、香澄ちゃん。おばあちゃんのおかず少しわけてあげようか?』
と香澄の中の祖母は、香澄の元気を取り戻そうとしてくれる。
その度に香澄は言う。
「2人が話を聞いてくれるなら、私はどんなことも耐えられるよ、と」
それから、香澄は書いた。
今日の嵐のような出来事を。
電車に乗って、死ぬかと思ったこと。
母親と久しぶりに直接会って、やっぱり嫌だと思ったこと。
それから……。
「ねえ、お父さんおばあちゃん。前に話した男の人のこと覚えてる?」
という切り出しから、涼のことを香澄は話し出した。
「普通、忘れ物は自分ですよ、なんて言わないよね、どう思う?」
香澄は問いかける。
でも……香澄の中の父親と祖母は、ただニコニコ笑ってるだけ。
何も話してくれない。
「その人が、私のことずっと探してたって言うの。信じられないでしょ?」
香澄はまた問いかける。
でも、どちらもまた、何も話してくれない。
香澄は、ほんの少し悲しくなりながら、1番相談したいと思った話を切り出した。
「ねえ、お父さん、おばあちゃん。私……赤ちゃんができたんだって」
香澄は、ノートにその文字を書きながら、少しずつ手が震え出した。
今書こうとしていることが、どれだけ残酷なことなのかは、もう香澄の中では気づいていた。
それでも書かずにいられないのだ。
「たった1回だけなのに、赤ちゃんできるって本当にあるんだね……。どうして、私なんかのところに来ちゃったんだろう。絶対に私は幸せになんかできないのに、ね。お父さんとおばあちゃんもそう思うでしょ?」
香澄の問いかけに、2人は何も話さない。話してくれない。
香澄の目に、うっすら涙が溜まり始めていた。
その上で、タクシーの中でぼんやりと考えていたことを、2人に伝えるために香澄は文字にした。
「ねえ、お父さん。おばあちゃん。……このまま産んじゃってかわいそうな思いをさせるくらいならさ……赤ちゃん……産まない方が良いよね。そう思うよね?」
いつものように、父親と祖母の位牌と、位牌と一緒に仏壇に置いているA4サイズのノートを香澄はテーブルに置いた
それから、父親と祖母の位牌の前に準備した夕食と自分用の体調不良時食料にしているゼリーをテーブルに並べた香澄は、ノートを開きペンを取り出してから、手を合わせた。
「お父さん、おばあちゃん、今日も1日お疲れ様でした。いただきます」
ここから始まるのが、香澄にとっての家族団欒の時間。
『今日は何があったんだい?』
香澄が覚えている父親の声を思い出しながら、香澄はいつものように父親の言葉をノートに書き記す。
「聞いてよお父さん、もう大変だったんだよ」
香澄は、声に出しながら、同時に自分の言葉もノートに残す。
今日の出来事を香澄はノートに書きながら
「お父さん、おばあちゃんどう思う?」
と合間合間に聞く。
その度に、香澄の中に蘇るのは、ありし日の2人の優しい声。
『それは、大変だったな』
と香澄の中の父親は慰めてくれて
『ほら、香澄ちゃん。おばあちゃんのおかず少しわけてあげようか?』
と香澄の中の祖母は、香澄の元気を取り戻そうとしてくれる。
その度に香澄は言う。
「2人が話を聞いてくれるなら、私はどんなことも耐えられるよ、と」
それから、香澄は書いた。
今日の嵐のような出来事を。
電車に乗って、死ぬかと思ったこと。
母親と久しぶりに直接会って、やっぱり嫌だと思ったこと。
それから……。
「ねえ、お父さんおばあちゃん。前に話した男の人のこと覚えてる?」
という切り出しから、涼のことを香澄は話し出した。
「普通、忘れ物は自分ですよ、なんて言わないよね、どう思う?」
香澄は問いかける。
でも……香澄の中の父親と祖母は、ただニコニコ笑ってるだけ。
何も話してくれない。
「その人が、私のことずっと探してたって言うの。信じられないでしょ?」
香澄はまた問いかける。
でも、どちらもまた、何も話してくれない。
香澄は、ほんの少し悲しくなりながら、1番相談したいと思った話を切り出した。
「ねえ、お父さん、おばあちゃん。私……赤ちゃんができたんだって」
香澄は、ノートにその文字を書きながら、少しずつ手が震え出した。
今書こうとしていることが、どれだけ残酷なことなのかは、もう香澄の中では気づいていた。
それでも書かずにいられないのだ。
「たった1回だけなのに、赤ちゃんできるって本当にあるんだね……。どうして、私なんかのところに来ちゃったんだろう。絶対に私は幸せになんかできないのに、ね。お父さんとおばあちゃんもそう思うでしょ?」
香澄の問いかけに、2人は何も話さない。話してくれない。
香澄の目に、うっすら涙が溜まり始めていた。
その上で、タクシーの中でぼんやりと考えていたことを、2人に伝えるために香澄は文字にした。
「ねえ、お父さん。おばあちゃん。……このまま産んじゃってかわいそうな思いをさせるくらいならさ……赤ちゃん……産まない方が良いよね。そう思うよね?」