二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
 クリスマスイブ前日……つまり、昨日のこと。
 八島の厚意で、今日のための作戦会議が開かれた。もちろん、ZOOM&顔出し無しで。

「いい?今から言うことをしっかり実行しなさいね」
「ういっすー」
「……本当は、エッチしてきちゃうのが早いんだけど」
「……いやっす……」
「だから、そんな香澄ちゃんのためにいいプラン、考えたから」

 そう言ってすぐ、八島がチャット機能で送ってきたのは……。

「先輩、何ですか、これ」
「明日やることリスト」

・安くても良いから、女子力UPのワンピースを着なさい
・美容院で髪とメイクをしてもらいなさい。お嬢様系で。
・小さいきれい目バッグを持っていきなさい。
・決してPCやメモ帳を持っていかないこと。ギリギリボイスレコーダー
・とにかく感じなさい。まずはそれから。

(な、難易度が高い……特に……)

「メモ帳持っていっちゃダメなんですか!?」

 コミュ障な私にとって、話がまとまらない時にさっと文字で説明できるメモ帳は必要不可欠なツールになっている。

「ダメ。メモ帳なんて出したら、取材感バリバリ出てるじゃない。それこそお隣の席の人とかに警戒されるわよ」
「で、でもぉ……」
「でもじゃない!メモを取ってる時間があるなら、体で感じてきなさい」
「どういうことですか!」

 香澄が反論すると、もう何度目かわからない八島のため息がスピーカー越しに流れた。

「いい、これからセックスをしようと考えてる2人はね、駆け引きをするの」
「駆け引き、ですか?」
「そう。例えば……」
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