二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
7.予想外に深すぎた彼女の心の傷
拓人と涼は、ダイニングテーブルに何となく座った。
おそらく、ついさっきまで香澄が食事をしていたのだろう。香澄の食べかけのゼリー飲料が転がっていた。それから……。
「これが、香澄のお父様とお祖母様ね。こんな初対面になっちゃったけど……」
そう言いながら、拓人はテーブルに置かれた2人の遺影に手を合わせた。涼も拓人に続けて急いで手を合わせる。
涼と拓人は、この2人の遺影の様子から2人が生前どんな人物だったのかは何となくだが想像ついた。
穏やかで優しく、いつも見守ってくれる。そんな人達だったのだろう。
香澄もまた、この2人によく似た雰囲気を持っていると、拓人も涼も感じた。
これが、血の繋がりとしてあるべき姿だったのだろう、とも。
「一体、どこから話せば良いのかしら……」
拓人はそう言うと、ノートに気づき、手に取った。
「これはもしかして……」
拓人はぺらりと1ページだけ捲った。最後の方を。それから急いで閉じた。
「そのノートは何だ?拓人」
「香澄の、秘密の花園ってところかしら」
「秘密の花園?」
「決して暴いてはいけない秘境と言った方が、正しいかもしれないわね」
「どういう意味だ」
「この中には、香澄のプライベートが全部書かれてる。幸い、私が覗いてしまったのは香澄から直接聞いたことがある話だったからまだ良かったけど。これは香澄にそのまま返さなきゃね」
「あのノートもそうだが……香澄は、どうしてそんなにノートを気にするんだ?」
「あのノート?」
涼は、香澄が倒れた時に回収したノートを拓人に見せた。
「ああ、これね」
「分かるのか」
「ええ、見せてくれたもの。それも頂戴。私がこのノートと一緒に香澄に返すから」
「……断る、と言ったら?」
「は?」
「僕の質問に答えろ、拓人。このノートは、香澄の何なんだ」
「だからさっきも言ったじゃない。香澄のプライベートをべらべら話すわけにはいかないって。このノートは……特に兄貴には言えないわ。だから……このノートには関係のないところから、話をしてあげるわ。この部屋からでも推測できる限りの、香澄のことを」
拓人はそう言うと、ぐるりとリビングとダイニングを見回しながらこう言った。
「あの話くらいなら、ギリギリできるかもしれないわね」
涼は、正直この時まで拓人に対しては劣等感を抱いたことは1度もなかった。
今日ほど、涼は拓人が羨ましいと思ったことはない。
涼が喉から手が出るほど欲しいと思っている香澄の情報と信頼を、血を分けた実の弟が抱えているという事実が、涼を嫉妬の渦に放り込んだ。
おそらく、ついさっきまで香澄が食事をしていたのだろう。香澄の食べかけのゼリー飲料が転がっていた。それから……。
「これが、香澄のお父様とお祖母様ね。こんな初対面になっちゃったけど……」
そう言いながら、拓人はテーブルに置かれた2人の遺影に手を合わせた。涼も拓人に続けて急いで手を合わせる。
涼と拓人は、この2人の遺影の様子から2人が生前どんな人物だったのかは何となくだが想像ついた。
穏やかで優しく、いつも見守ってくれる。そんな人達だったのだろう。
香澄もまた、この2人によく似た雰囲気を持っていると、拓人も涼も感じた。
これが、血の繋がりとしてあるべき姿だったのだろう、とも。
「一体、どこから話せば良いのかしら……」
拓人はそう言うと、ノートに気づき、手に取った。
「これはもしかして……」
拓人はぺらりと1ページだけ捲った。最後の方を。それから急いで閉じた。
「そのノートは何だ?拓人」
「香澄の、秘密の花園ってところかしら」
「秘密の花園?」
「決して暴いてはいけない秘境と言った方が、正しいかもしれないわね」
「どういう意味だ」
「この中には、香澄のプライベートが全部書かれてる。幸い、私が覗いてしまったのは香澄から直接聞いたことがある話だったからまだ良かったけど。これは香澄にそのまま返さなきゃね」
「あのノートもそうだが……香澄は、どうしてそんなにノートを気にするんだ?」
「あのノート?」
涼は、香澄が倒れた時に回収したノートを拓人に見せた。
「ああ、これね」
「分かるのか」
「ええ、見せてくれたもの。それも頂戴。私がこのノートと一緒に香澄に返すから」
「……断る、と言ったら?」
「は?」
「僕の質問に答えろ、拓人。このノートは、香澄の何なんだ」
「だからさっきも言ったじゃない。香澄のプライベートをべらべら話すわけにはいかないって。このノートは……特に兄貴には言えないわ。だから……このノートには関係のないところから、話をしてあげるわ。この部屋からでも推測できる限りの、香澄のことを」
拓人はそう言うと、ぐるりとリビングとダイニングを見回しながらこう言った。
「あの話くらいなら、ギリギリできるかもしれないわね」
涼は、正直この時まで拓人に対しては劣等感を抱いたことは1度もなかった。
今日ほど、涼は拓人が羨ましいと思ったことはない。
涼が喉から手が出るほど欲しいと思っている香澄の情報と信頼を、血を分けた実の弟が抱えているという事実が、涼を嫉妬の渦に放り込んだ。