二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
(今……何が起きた……?)
香澄は、ゆっくりと上を見る。
まさか自分は外にいるのだろうか?と、香澄は自分がいる場所に疑いを持ってみたものの、しっかりと立派な天井があった。
でも、香澄の頭から服は、びしょびしょに濡れている。
そして、唇をぺろりと舐めると、少し甘かった。それは、ジュースとは味わいが違う。
(もしかしなくても私……お酒ぶっかけられた?)
冷静に、何が起きたかを香澄が考える前に
「お客様!大丈夫ですか!タオルお持ちします!」
イケメンギャルソンが大慌てで香澄に声をかけてしまった。
そのせいで
「えー?誰かいたのー?」
と、香澄にお酒らしき液体をかけた女性がひょこっと衝立から顔を出した。
くるくるっと可愛らしいウェーブのセミロングに、見ただけでブランド物だと分かるワンピースを身につけた、モデル並の美女だった。
流石に、自分がしでかしたことに、一言くらいは謝罪の言葉があるだろうと、コミュ障でも一般常識くらいは持ち合わせている香澄は思った。
ところが。
「やだー!まさか、おひとりさま!?」
「え?」
確かに、もし連れがいるならばテーブルの上には2人分のデザートがあるはず。
それが、1つしかないので香澄が1人でいることは容易に想像がついてしまう。
「カップル席に1人って……だっさっ!超ださ!」
美女は、まるで恋愛ゲームの中に出てくる悪役令嬢のように高飛車な笑いを香澄にぶつけてきた。
「えーやだ!縁起悪すぎ!こんなのが隣だったとか、まじ最悪」
「っ……!!」
「ほんと、キモい」
(何で見ず知らずの人間に、ここまで言われないといけないの……)
香澄は言うなれば、この場所に清水の舞台から飛び降りるような気持ちで来ていた。
仕事のための、一大決心だったのだ。
それを酒をぶっかけてきただけでなく、キモいとまで言われてしまう始末。
心が押しつぶされるには、十分すぎる材料だった。
(もうやだ……)
「お客様、タオルお待たせしました」
イケメンギャルソンが持ってきたタオルを受け取る気力も、滅多にお目にかかれないチョコレートドームのデザートを勿体無いと思う気力すら、香澄には残っていない。
まさに、ライフ0といったところか。
「帰ります」
一体誰のためにわざわざ口に出しているのかすら、香澄は分からないまま、バッグを持とうとした。
その時だった。
「申し訳ございません」
悪役令嬢っぽい美女を押し退けて、香澄の方に歩み寄った男がいた。
その声は「勃たない」というとんでも発言をした声と全く同じ。
そしてその容姿はといえば……。
(げ、芸能人……?)
恋愛ゲームの攻略対象の1人が、そのまま液晶画面から抜け出たと言っても不思議ではないほどの、甘く整った顔立ち、180cmは有に超えているであろう高身長と、しっかりと筋肉がついていることが分かる男らしいスタイル。
「無礼をお詫びさせていただきませんか?」
「は、はあ…………」
これが香澄と、将来香澄を生涯溺愛することになる芹沢涼の、予想外すぎるクリスマスイブの出会いだった。
→2.スイートルームでの予想外すぎる一夜 に続く……
香澄は、ゆっくりと上を見る。
まさか自分は外にいるのだろうか?と、香澄は自分がいる場所に疑いを持ってみたものの、しっかりと立派な天井があった。
でも、香澄の頭から服は、びしょびしょに濡れている。
そして、唇をぺろりと舐めると、少し甘かった。それは、ジュースとは味わいが違う。
(もしかしなくても私……お酒ぶっかけられた?)
冷静に、何が起きたかを香澄が考える前に
「お客様!大丈夫ですか!タオルお持ちします!」
イケメンギャルソンが大慌てで香澄に声をかけてしまった。
そのせいで
「えー?誰かいたのー?」
と、香澄にお酒らしき液体をかけた女性がひょこっと衝立から顔を出した。
くるくるっと可愛らしいウェーブのセミロングに、見ただけでブランド物だと分かるワンピースを身につけた、モデル並の美女だった。
流石に、自分がしでかしたことに、一言くらいは謝罪の言葉があるだろうと、コミュ障でも一般常識くらいは持ち合わせている香澄は思った。
ところが。
「やだー!まさか、おひとりさま!?」
「え?」
確かに、もし連れがいるならばテーブルの上には2人分のデザートがあるはず。
それが、1つしかないので香澄が1人でいることは容易に想像がついてしまう。
「カップル席に1人って……だっさっ!超ださ!」
美女は、まるで恋愛ゲームの中に出てくる悪役令嬢のように高飛車な笑いを香澄にぶつけてきた。
「えーやだ!縁起悪すぎ!こんなのが隣だったとか、まじ最悪」
「っ……!!」
「ほんと、キモい」
(何で見ず知らずの人間に、ここまで言われないといけないの……)
香澄は言うなれば、この場所に清水の舞台から飛び降りるような気持ちで来ていた。
仕事のための、一大決心だったのだ。
それを酒をぶっかけてきただけでなく、キモいとまで言われてしまう始末。
心が押しつぶされるには、十分すぎる材料だった。
(もうやだ……)
「お客様、タオルお待たせしました」
イケメンギャルソンが持ってきたタオルを受け取る気力も、滅多にお目にかかれないチョコレートドームのデザートを勿体無いと思う気力すら、香澄には残っていない。
まさに、ライフ0といったところか。
「帰ります」
一体誰のためにわざわざ口に出しているのかすら、香澄は分からないまま、バッグを持とうとした。
その時だった。
「申し訳ございません」
悪役令嬢っぽい美女を押し退けて、香澄の方に歩み寄った男がいた。
その声は「勃たない」というとんでも発言をした声と全く同じ。
そしてその容姿はといえば……。
(げ、芸能人……?)
恋愛ゲームの攻略対象の1人が、そのまま液晶画面から抜け出たと言っても不思議ではないほどの、甘く整った顔立ち、180cmは有に超えているであろう高身長と、しっかりと筋肉がついていることが分かる男らしいスタイル。
「無礼をお詫びさせていただきませんか?」
「は、はあ…………」
これが香澄と、将来香澄を生涯溺愛することになる芹沢涼の、予想外すぎるクリスマスイブの出会いだった。
→2.スイートルームでの予想外すぎる一夜 に続く……