二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
(私は……どうしてこんなところに全裸でいるんだろう……)

 別に、香澄が露出狂だからというわけでは、決してない。

(服……早くても3時間後にしか戻らないって言うし……)

 不幸にも、香澄が痴話喧嘩らしきものに巻き込まれ、頭から酒をぶっかけられたのはほんの少し前のこと。
 そのまま帰ろうとした香澄だったが、あれよあれと言う間に身ぐるみを剥がされ、気がつけば自分の部屋よりずっと綺麗で清潔感あふれるバスルームに押し込まれていた。
 ちなみにバスルームは、床は大理石で作られ、浴槽はジャグジー機能がついている。
 そんな浴槽に、現在肩までしっかりつかりながら、香澄は、先ほどまで見ていたレストランから見るものとはまた違う表情を見せる、都会の夜景を全裸で見下ろしていた。

「ここが……このホテルで1番お高いと言われるスイートルームのバスルームか……」

 香澄が一生に1度入れるかどうかすら分からない、1泊40万円以上するようはスイートルームのバスルームを満喫させられているのは

「僕のは勃たないんですよ」

 と公衆の面前で堂々と発言した、あの芸能人のような男性の仕業だった。
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