二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
「あら、拓人さんどうもー」
「ここここんばんは」
「さ、座ってください」
香澄は、女狐さんこと田原洋子と、子狸さんこと田原勇気との交流も、あの香澄の母親が逮捕された日以降から定期的に続いていた。
洋子は本当に優しく、香澄が妊娠していると知ってから
「私がお母さん代わりになってあげるからね、うんうん」
と、香澄に名乗り出てくれた。
最初こそ、自分の母親がやらかしたことの責任をまだ感じていたので、申し訳なく思ってもいた。
けれど、やはり妊娠中に起きた母体の変化の不安は、経験者にしか話すことができなかったので、香澄は数回ほどあった「どうしようもなく辛い時」は洋子を頼った。
その時に
「香澄ちゃん、私を頼ってくれてありがとうね」
と繰り返し洋子が言ってくれるので、香澄も次第に洋子に心を開くようになった。
今では、実母以上に母親と慕うことができるようになった。
「香澄ちゃん。おいしいって評判の七面鳥、買ってきたわよ」
「ありがとうございます!」
香澄は、洋子から七面鳥を受け取ると、そのままレンジに入れて温めボタンを押した。
「か、かかか香澄ちゃん……」
勇気も、袋を2つ香澄に渡した。
1つはデパートの紙袋で、中には未来用の女児向けアニメのおもちゃがたくさん入ってた。
「これ、1年に1回変わるやつですけど、大丈夫ですか?」
「大丈夫、来年には僕がまた引き取って、新しいものあげるから」
「素晴らしいヲタ的SDGsですね。最高です」
「そそそそそれでね、こっちがね、香澄ちゃんが喜ぶと思って……」
「めっちゃ期待してました」
香澄が袋を開けると、出てきたのは香澄が今推しまくってる男キャラクターのちょっとエッチな仕草のフィギュアとアクリルスタンド。
「神ですか。最高ですか」
「きょ、今日はパーティーだからね。他にもほら、僕のも連れてきたんだ」
そう言って並べたのは、勇気の推しキャラのアクスタ。
「なんですか。幸せ空間ですか。推しばかりで最高じゃないですか」
「やっぱり、楽しいことはみんなで共有しないとと思って」
「やはり、持つべきものは兄……!」
「いいい妹よ……!」
そして2人は、いつものようにハグをして、この世に推しがいることを心から喜びあった。
香澄と勇気は、血のつながりが本当にないのかと疑わしくなるくらい、趣味も考え方もそっくりだった。
そして、この2人の関係をほとんどの人間は微笑ましく思っていた。
何故なら、この2人はどちらも二次元にしか居場所がないと諦めていたところも共通しており、2人が交流するようになってから一気にお互いの笑顔が増えたのを知っているから。
ただし、たった1人を除いて。
「あんたたち、いつもの儀式はその辺にしなさいよね。鬼が帰ってくる時間よ」
「誰が、鬼だって?」
拓人の声がけは間に合わず、香澄と勇気のハグは、勇気を最も警戒している涼が目にしてしまうことになった。
「ここここんばんは」
「さ、座ってください」
香澄は、女狐さんこと田原洋子と、子狸さんこと田原勇気との交流も、あの香澄の母親が逮捕された日以降から定期的に続いていた。
洋子は本当に優しく、香澄が妊娠していると知ってから
「私がお母さん代わりになってあげるからね、うんうん」
と、香澄に名乗り出てくれた。
最初こそ、自分の母親がやらかしたことの責任をまだ感じていたので、申し訳なく思ってもいた。
けれど、やはり妊娠中に起きた母体の変化の不安は、経験者にしか話すことができなかったので、香澄は数回ほどあった「どうしようもなく辛い時」は洋子を頼った。
その時に
「香澄ちゃん、私を頼ってくれてありがとうね」
と繰り返し洋子が言ってくれるので、香澄も次第に洋子に心を開くようになった。
今では、実母以上に母親と慕うことができるようになった。
「香澄ちゃん。おいしいって評判の七面鳥、買ってきたわよ」
「ありがとうございます!」
香澄は、洋子から七面鳥を受け取ると、そのままレンジに入れて温めボタンを押した。
「か、かかか香澄ちゃん……」
勇気も、袋を2つ香澄に渡した。
1つはデパートの紙袋で、中には未来用の女児向けアニメのおもちゃがたくさん入ってた。
「これ、1年に1回変わるやつですけど、大丈夫ですか?」
「大丈夫、来年には僕がまた引き取って、新しいものあげるから」
「素晴らしいヲタ的SDGsですね。最高です」
「そそそそそれでね、こっちがね、香澄ちゃんが喜ぶと思って……」
「めっちゃ期待してました」
香澄が袋を開けると、出てきたのは香澄が今推しまくってる男キャラクターのちょっとエッチな仕草のフィギュアとアクリルスタンド。
「神ですか。最高ですか」
「きょ、今日はパーティーだからね。他にもほら、僕のも連れてきたんだ」
そう言って並べたのは、勇気の推しキャラのアクスタ。
「なんですか。幸せ空間ですか。推しばかりで最高じゃないですか」
「やっぱり、楽しいことはみんなで共有しないとと思って」
「やはり、持つべきものは兄……!」
「いいい妹よ……!」
そして2人は、いつものようにハグをして、この世に推しがいることを心から喜びあった。
香澄と勇気は、血のつながりが本当にないのかと疑わしくなるくらい、趣味も考え方もそっくりだった。
そして、この2人の関係をほとんどの人間は微笑ましく思っていた。
何故なら、この2人はどちらも二次元にしか居場所がないと諦めていたところも共通しており、2人が交流するようになってから一気にお互いの笑顔が増えたのを知っているから。
ただし、たった1人を除いて。
「あんたたち、いつもの儀式はその辺にしなさいよね。鬼が帰ってくる時間よ」
「誰が、鬼だって?」
拓人の声がけは間に合わず、香澄と勇気のハグは、勇気を最も警戒している涼が目にしてしまうことになった。