二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
「どういう意味……ですか?」
「ん?香澄は、どういう意味だと思う?」

(分からないから聞いてるんですけど!?)

 香澄はしどろもどろになりながら、必死に答えを探した。

「りょ、料金が足りないとかですか?」

 芹沢涼は、香澄の回答に文句を言いたげな表情を浮かべてから、コツンと自分の額を香澄の額に当ててきた。
 ちょっと顔を上げれば、芹沢涼の綺麗な鼻筋と香澄の鼻筋がぶつかってしまいそうだった。

「心外だな。僕が、そんなみみっちいことでわざわざ女性を探すとでも?」
「さ、探す……?」
「そうだよ。あの夜から僕はね、君を抱きたい一心で探し続けてたんだ」

(ま、まさかそんなことは……)

 そうだ。これは夢ではないだろうか。
 都合の良い夢。
 きっとどこかで倒れてしまったから、そこで夢を見ているのかもしれない。
 だとすれば、早く目覚めなくては。
 香澄は、必死に自分の足をつねった。
 少しでも早く目覚めるように。
 でも、ただ痛いだけで、目の前の景色が変わることはなかった。
 そんな風に、自らを痛めつけようとする香澄の手を、芹沢涼の手が止める。

「ダメだよ香澄。僕以外の誰も、君に痕はつけさせない。例えそれが、君自身だったとしてもね」

 そう言ってすぐ、芹沢涼の唇が香澄の唇に重なった。
 最初はマシュマロを押し当て合うような軽いキスだったが、芹沢涼の舌の攻めによって香澄の唇は開かされ、気が付けば自らの口腔内に、芹沢涼の舌の侵入を香澄は許してしまっていた。
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