二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
「まず、異性に触れる理由だけど……いい。よく聞きなさい」
「はい」
「触感はね、恋を加速させるの。オキシトシンがどばどば出るの」
「お……おきしどーる?消毒液が出るんですか?」
「……香澄ちゃん」
「…………はい…………」
「恋愛ゲームのシナリオを書き続けたいなら、幸せホルモンのことくらいは基礎知識で入れておきなさいね。流石に話にならないから」
「す、すみません……」

 それから、香澄は余計なことを言わないようにして、八島の言葉をただひたすら聞くに徹した。
 これ以上八島を怒らせて、嫌われるのが怖かったから。

 八島曰く。
 最も即効性があるのは、香澄がハイスペ男子と一夜を共にすることだ……と言った。
 ちなみに八島が言うハイスペとは……イケメンで、身長も地位も高くて高級ホテルのスイートで丁寧に抱いてくれる男……らしい。

「いや、そんな男二次元だけだと思いますけど!?」
「分からないわよ?いるところにはいるもんだから」
「だとしても、私みたいなコミュ障をその……だ……だ……」

 抱く、という言葉をはっきり言うのが恥ずかしかった香澄は言葉を誤魔化しながら

「ごにょごにょしたいハイスペ男いるはずないと思います!」

 と宣言した。
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