二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
八島は今、「バレないように」と発言した。
バレるという言葉の意味は、秘密が露見すると言うこと。
つまり、八島は香澄の存在を秘密にしていた、と言う内容とイコールになる。
けれど、そもそも存在を認識していない人間に対してバレると言う言葉を使うのは至って不自然だと、香澄は思った。
言葉のミスだとしても、八島がそんなミスをするのはやはり滅多にない。
そんな事を香澄がぐるぐると考えていると、またもや八島から爆弾発言が飛び出してきた。
「そもそも、あんたがしつこくクリスマスイブの香澄の仕事の予定を聞いてくるから、わざわざ、私が、香澄のクリスマスイブの予定を作ってあげて、あんたが入れる余地をしっかり壊してあげたはずなのに!!」
(……はい?)
「僕が聞いたのは、彼女の仕事の締切日だけじゃないか」
「はー!白々しい!その質問の裏側に、あんたの下心が見え見えなのよ!」
(ちょ、ちょっと待て……)
香澄と芹沢涼の初対面は、クリスマスイブの夜、あのお酒ぶっかけ事件だったはずだ。
けれど、今香澄が聞いた話から推測すると、芹沢涼と八島はクリスマスイブの前に、香澄の予定について会話をしている、と言うことになる。
(私、芹沢先生と知り合いだったってこと?)
一瞬そんな事を香澄は考えたが、すぐにその考えを打ち消した。
あんなイケメン、1度会ってすぐ忘れられるはずはない。
もちろん、香澄の場合は「抱かれた」と言う究極的なオプションがついてしまったからというのあるが、今日再会するまで1度たりとも忘れたことはなかったのだから。
「あーもう、あの日に還れるなら、香澄にちゃんと注意したのに」
(え、私何かしたの?注意されるようなこと?)
「それは困るな。香澄の可愛い姿を知るきっかけを無くすなんて、僕の人生ではあり得ないよ」
(私を知る……きっかけ?)
つまり、香澄は何かしてしまったらしい。
八島が注意しなければいけないようなことを。
その結果、芹沢涼が香澄の存在を知った……というのが、彼らの話から読み取れる内容だった。
しかし、香澄には心当たりが全くない。
「はぁ……あんたが香澄を狙ってるって知るのがもっと早かったら、あんたも住んでるこのマンション売り払って、香澄とのつながりを絶ってあげたのに」
「そうされるのが困るから、直前まで黙ってあげたんじゃないか」
「キー!ああ言えばこう言う!一体誰に似たのかしら!親の顔が見てみたいわ!」
「たっくんの両親の写真を見ればいいさ」
「分かってるわよ!もう嫌だわほんと、こんな男と血が繋がってるなんて、考えただけでゾッとするわ」
(ど、どうしよう……)
香澄は、ドアノブに手をかけたまま、中に入るべきか、それとも立ち去るべきかを考えた。
真実は気になるが、ヒートアップした兄弟喧嘩らしきものの間に割って入る勇気を香澄には持ち合わせていなかったから。
けれど、そんな心配はすぐに解消された。
「ところでたっくん」
「……何よ」
「そろそろ、僕のお姫様に会いたいんだけど」
「なーにがあんたの姫よ!香澄はあんたのじゃないの!わかる?」
「ふふふ」
「……何笑ってるのよ」
「たっくんは気づかないのかな?」
「何がよ」
すると、急に足音が香澄がいる扉の方に近づいてきた。
(えっ!?)
逃げるべきか否か。
そんな事を考える間も無く扉が開かれた。
「か、香澄!?いつからそこに……」
「は、ははは……」
香澄は、気まずそうに苦笑いしながら、目の前に立つ芹沢涼を見上げた。
「さて、どこから話してあげようか」
「は、はははい?」
芹沢涼の目に映る香澄は、虫籠に捉えられた蝶のようだった。
バレるという言葉の意味は、秘密が露見すると言うこと。
つまり、八島は香澄の存在を秘密にしていた、と言う内容とイコールになる。
けれど、そもそも存在を認識していない人間に対してバレると言う言葉を使うのは至って不自然だと、香澄は思った。
言葉のミスだとしても、八島がそんなミスをするのはやはり滅多にない。
そんな事を香澄がぐるぐると考えていると、またもや八島から爆弾発言が飛び出してきた。
「そもそも、あんたがしつこくクリスマスイブの香澄の仕事の予定を聞いてくるから、わざわざ、私が、香澄のクリスマスイブの予定を作ってあげて、あんたが入れる余地をしっかり壊してあげたはずなのに!!」
(……はい?)
「僕が聞いたのは、彼女の仕事の締切日だけじゃないか」
「はー!白々しい!その質問の裏側に、あんたの下心が見え見えなのよ!」
(ちょ、ちょっと待て……)
香澄と芹沢涼の初対面は、クリスマスイブの夜、あのお酒ぶっかけ事件だったはずだ。
けれど、今香澄が聞いた話から推測すると、芹沢涼と八島はクリスマスイブの前に、香澄の予定について会話をしている、と言うことになる。
(私、芹沢先生と知り合いだったってこと?)
一瞬そんな事を香澄は考えたが、すぐにその考えを打ち消した。
あんなイケメン、1度会ってすぐ忘れられるはずはない。
もちろん、香澄の場合は「抱かれた」と言う究極的なオプションがついてしまったからというのあるが、今日再会するまで1度たりとも忘れたことはなかったのだから。
「あーもう、あの日に還れるなら、香澄にちゃんと注意したのに」
(え、私何かしたの?注意されるようなこと?)
「それは困るな。香澄の可愛い姿を知るきっかけを無くすなんて、僕の人生ではあり得ないよ」
(私を知る……きっかけ?)
つまり、香澄は何かしてしまったらしい。
八島が注意しなければいけないようなことを。
その結果、芹沢涼が香澄の存在を知った……というのが、彼らの話から読み取れる内容だった。
しかし、香澄には心当たりが全くない。
「はぁ……あんたが香澄を狙ってるって知るのがもっと早かったら、あんたも住んでるこのマンション売り払って、香澄とのつながりを絶ってあげたのに」
「そうされるのが困るから、直前まで黙ってあげたんじゃないか」
「キー!ああ言えばこう言う!一体誰に似たのかしら!親の顔が見てみたいわ!」
「たっくんの両親の写真を見ればいいさ」
「分かってるわよ!もう嫌だわほんと、こんな男と血が繋がってるなんて、考えただけでゾッとするわ」
(ど、どうしよう……)
香澄は、ドアノブに手をかけたまま、中に入るべきか、それとも立ち去るべきかを考えた。
真実は気になるが、ヒートアップした兄弟喧嘩らしきものの間に割って入る勇気を香澄には持ち合わせていなかったから。
けれど、そんな心配はすぐに解消された。
「ところでたっくん」
「……何よ」
「そろそろ、僕のお姫様に会いたいんだけど」
「なーにがあんたの姫よ!香澄はあんたのじゃないの!わかる?」
「ふふふ」
「……何笑ってるのよ」
「たっくんは気づかないのかな?」
「何がよ」
すると、急に足音が香澄がいる扉の方に近づいてきた。
(えっ!?)
逃げるべきか否か。
そんな事を考える間も無く扉が開かれた。
「か、香澄!?いつからそこに……」
「は、ははは……」
香澄は、気まずそうに苦笑いしながら、目の前に立つ芹沢涼を見上げた。
「さて、どこから話してあげようか」
「は、はははい?」
芹沢涼の目に映る香澄は、虫籠に捉えられた蝶のようだった。