90日のシンデレラ
「あの青いのは、さっきのツリー?」
「みたいって、いっていただろ。俺ももうちょっと運転したい気分だったから、一周してきた」
一周といわれて、真紘はここが首都高であることを思い出す。環状道路なんて、都市ならでは代物だ。田舎では一方向へ突き進んでいくのみ。戻ってはこない。
あの青い光の塊が自分がみたかったものに間違いないと思っていたが、北峰のセリフで確実となる。
「あれをもう一度、みることができるなんて……ありがとうございます」
「どういたしまして。ルーフも開いているから、よーくご覧あれ」
一回目の通行ではまだパノラマルーフは開いていなかった。サイドウインドウの中の流れる夜景のひとコマだったツリーは、今度は違う。オープンカーからのヴューイングになっていた。
よーくご覧あれと、まるでカレシがカノジョにいうかのようなセリフに真紘は嬉しくなる。
こうやって同じところを走ってくれるだけでも驚きなのに、視界がよくなってもっと楽しくなるように配慮されるなんて……
(これ、大盤振る舞いって感じ)
(それだけ北峰さん、今日の成果が嬉しかったんだ)
(今だけは、それに甘えちゃって……いい?)
迫ってくるブルーツリーに、真紘はしっかり目を凝らす。ツリーにはブルーライトだけだと思っていたけど、よくよくみれば他にもオーナメントがある。でも夜のビル影の中では黒い塊でしかなく、よくわからない。
今はブルーライトだけしかみえない夜の幻想的なツリー、だがこれは昼にはまた別の表情をみせるに違いない。
昼の明るい時間にあのツリーの真下に立ち、そこから見上げれば、一体、何がみえるのか?
今度の休みに訪れてみよう、車窓にへばりついてブルーツリーに目が釘付けの真紘はそう決める。思いがけず、東京休日の楽しみが増えた。
「みたいって、いっていただろ。俺ももうちょっと運転したい気分だったから、一周してきた」
一周といわれて、真紘はここが首都高であることを思い出す。環状道路なんて、都市ならでは代物だ。田舎では一方向へ突き進んでいくのみ。戻ってはこない。
あの青い光の塊が自分がみたかったものに間違いないと思っていたが、北峰のセリフで確実となる。
「あれをもう一度、みることができるなんて……ありがとうございます」
「どういたしまして。ルーフも開いているから、よーくご覧あれ」
一回目の通行ではまだパノラマルーフは開いていなかった。サイドウインドウの中の流れる夜景のひとコマだったツリーは、今度は違う。オープンカーからのヴューイングになっていた。
よーくご覧あれと、まるでカレシがカノジョにいうかのようなセリフに真紘は嬉しくなる。
こうやって同じところを走ってくれるだけでも驚きなのに、視界がよくなってもっと楽しくなるように配慮されるなんて……
(これ、大盤振る舞いって感じ)
(それだけ北峰さん、今日の成果が嬉しかったんだ)
(今だけは、それに甘えちゃって……いい?)
迫ってくるブルーツリーに、真紘はしっかり目を凝らす。ツリーにはブルーライトだけだと思っていたけど、よくよくみれば他にもオーナメントがある。でも夜のビル影の中では黒い塊でしかなく、よくわからない。
今はブルーライトだけしかみえない夜の幻想的なツリー、だがこれは昼にはまた別の表情をみせるに違いない。
昼の明るい時間にあのツリーの真下に立ち、そこから見上げれば、一体、何がみえるのか?
今度の休みに訪れてみよう、車窓にへばりついてブルーツリーに目が釘付けの真紘はそう決める。思いがけず、東京休日の楽しみが増えた。