90日のシンデレラ
クーペは走る、ご機嫌な北峰の心を現しているかのように、軽やかに。
ついにビル横すれすれの高速道路から、ブルーツリーを望むこととなる。ここがツリーに一番近いのだ。
サイドウインドウからはもちろん、頭上のパノラマルーフからもブルーライトが差し込んでくる。真紘は再び、光の洪水に包まれていた。二回目の観賞は遮るものがないから、ライトは天から降り注ぎ一回目の何倍にもなって眩しい。
クーペの動きに合わせて真紘の目が、サイドウインドウからルーフウインドウへと移る。輝くブルーツリーをよくみるために。光るツリーを追いかけて、自然と真紘は一度起こした上体を倒していった。
ヒルズ地区のシャンパン色のビル群は、その中にいるだけでもワンダフルだ。キラキラの曇りのない光に、身も心もきれいになっていくような気がする。さらにそこへブルーツリーが、真紘の心に東京インプレッションをこれでもかと植え付ける。
(あー、これって、もう二度とみれないイルミネーションだ)
(気分がいいから走りにいくって連れてこられたけど、この光景には確かにそうさせるものがある。お祝い感満載だよ)
(間借りとかパンとかジュースとか、北峰さんにはいろいろ戸惑うことばかりだったけど……こんなのみせられたら、チャラにしてしまいそう)
きらびやかな時間は、そう長くない。所詮は車窓からの夜景の一部である。
気がつけばヒルズ地区も終わりに近づいていて、町の明かるさはだんだんとトーンダウンしていく。
でも真紘はブルーツリーを追いかけていた姿勢のまま。すっかりシートの上に横たわって、プラネタリウム見学そのものとなっている真紘ができあがっていた。
ついにビル横すれすれの高速道路から、ブルーツリーを望むこととなる。ここがツリーに一番近いのだ。
サイドウインドウからはもちろん、頭上のパノラマルーフからもブルーライトが差し込んでくる。真紘は再び、光の洪水に包まれていた。二回目の観賞は遮るものがないから、ライトは天から降り注ぎ一回目の何倍にもなって眩しい。
クーペの動きに合わせて真紘の目が、サイドウインドウからルーフウインドウへと移る。輝くブルーツリーをよくみるために。光るツリーを追いかけて、自然と真紘は一度起こした上体を倒していった。
ヒルズ地区のシャンパン色のビル群は、その中にいるだけでもワンダフルだ。キラキラの曇りのない光に、身も心もきれいになっていくような気がする。さらにそこへブルーツリーが、真紘の心に東京インプレッションをこれでもかと植え付ける。
(あー、これって、もう二度とみれないイルミネーションだ)
(気分がいいから走りにいくって連れてこられたけど、この光景には確かにそうさせるものがある。お祝い感満載だよ)
(間借りとかパンとかジュースとか、北峰さんにはいろいろ戸惑うことばかりだったけど……こんなのみせられたら、チャラにしてしまいそう)
きらびやかな時間は、そう長くない。所詮は車窓からの夜景の一部である。
気がつけばヒルズ地区も終わりに近づいていて、町の明かるさはだんだんとトーンダウンしていく。
でも真紘はブルーツリーを追いかけていた姿勢のまま。すっかりシートの上に横たわって、プラネタリウム見学そのものとなっている真紘ができあがっていた。