90日のシンデレラ
返ってきた主任のセリフはこう。
「ああ、したよ。提出前に管理職が内容を確認してはいけないだったから、椎名さんからもらったものをそのまま出した」
さぁあっと、真紘は血の気が引いていくような気がした。こころなしか、もう指先が冷たい感じがする。
(冗談でしょ!)
(あんな悪口ばっかりのレポート、確認なしだなんて!)
さらに主任は恐ろしことを真紘に告げた。
「本社がいうには、あの報告書はとてもよくできていて、是非とも本社へきて改革に参加してほしいとのことだ」
「はい? 改革?」
(さっき主任、新人研修っていわなかった?)
(しかも派遣理由が、私が独身で一番身軽だからともいっていなかった?)
いつの間にか、本社研修の目的と理由が変わっていた。
「僕は確認していないからわからないけれど、本社の担当者がいたく気に入って、本社と子会社の密なる連携構築に椎名さんの意見を詳しくききたいそうだ」
「はぁ?」
「研修とは別に椎名さんを東京本社へいかせる余裕なんて、うちの社にはないからね~。この新人研修と併せてなら派遣できますと返事を出した」
「はい?」
「そしたら、そういうことなら椎名さんのレポートは、業務改善コンペにエントリーすればいいと返ってきたんだ」
「え? 業務改善コンペ?」
また真紘の知らない単語が、主任の口から飛び出したのだった。
なんだか話が二転三転して、ややこしい。
「主任、結局はどういう名目なのですか?」
「ごめんね、ややこしくって。決定の経緯は今いったとおりなのだけれど、最終的には、椎名さんは『業務改善コンペ』にエントリーして本社審査対象に選ばれた。そのついでに、企画開発部門の新人研修も受けてくるってこと」
本社審査ときけば、すごく名誉なことにきこえてしまう。最初にいっていた新人研修は、いつの間にかおまけになっていた。実態は、忖度なしの意見陳述をしたら本社に呼び出されたということに違いない。真紘はそう自分の中で補正した。
「ああ、したよ。提出前に管理職が内容を確認してはいけないだったから、椎名さんからもらったものをそのまま出した」
さぁあっと、真紘は血の気が引いていくような気がした。こころなしか、もう指先が冷たい感じがする。
(冗談でしょ!)
(あんな悪口ばっかりのレポート、確認なしだなんて!)
さらに主任は恐ろしことを真紘に告げた。
「本社がいうには、あの報告書はとてもよくできていて、是非とも本社へきて改革に参加してほしいとのことだ」
「はい? 改革?」
(さっき主任、新人研修っていわなかった?)
(しかも派遣理由が、私が独身で一番身軽だからともいっていなかった?)
いつの間にか、本社研修の目的と理由が変わっていた。
「僕は確認していないからわからないけれど、本社の担当者がいたく気に入って、本社と子会社の密なる連携構築に椎名さんの意見を詳しくききたいそうだ」
「はぁ?」
「研修とは別に椎名さんを東京本社へいかせる余裕なんて、うちの社にはないからね~。この新人研修と併せてなら派遣できますと返事を出した」
「はい?」
「そしたら、そういうことなら椎名さんのレポートは、業務改善コンペにエントリーすればいいと返ってきたんだ」
「え? 業務改善コンペ?」
また真紘の知らない単語が、主任の口から飛び出したのだった。
なんだか話が二転三転して、ややこしい。
「主任、結局はどういう名目なのですか?」
「ごめんね、ややこしくって。決定の経緯は今いったとおりなのだけれど、最終的には、椎名さんは『業務改善コンペ』にエントリーして本社審査対象に選ばれた。そのついでに、企画開発部門の新人研修も受けてくるってこと」
本社審査ときけば、すごく名誉なことにきこえてしまう。最初にいっていた新人研修は、いつの間にかおまけになっていた。実態は、忖度なしの意見陳述をしたら本社に呼び出されたということに違いない。真紘はそう自分の中で補正した。