90日のシンデレラ
3*同居人は悪魔
本日は土曜日である。本社勤務になって最初の休日だ。こちらの生活がはじまったばかりであれば、ゆっくり仕事の疲れを取るだけでなく生活雑貨も整えたい。
だが、ピンポーンとインターフォンがなり、そうはさせない。これには身に覚えがあったから、素直に真紘は応答した。
インターフォンから確認すれば、予想どおり宅配業者である。お荷物を届けにあがったと告げる。
今から降りていきますと真紘が一階エントランスホールへいけば、台車に大箱を三つ乗せた配達員が待っていた。この荷物、実はすべて北峰のもの。
真紘は管理人に断りを入れて、配達員に部屋まで運んでもらった。
実は一昨日、真紘は北峰からこんなメールをもらっていた――土曜午前着で俺の荷物を送ったから、玄関に一番近い部屋へ入れておくように。
北峰とは勤務初日の退勤後に、エレベーター内で「部屋を貸せ!」「嫌だ、貸さない!」と押し問答した。
このバトル、最終的に真紘は負けた。なぜなら、エレベーターパネル前に北峰が陣取っていたから。
エレベーターがどこかのフロアに止まっても、北峰はすぐに「閉」を押した。決してエレベーター内に人を入れない。さらに一番遠い階のボタンを即座に押しては、箱を動かしてしまう。真紘が同意するまでは、これを永遠に続けると脅しもする。エレベーター空間を使った監禁である。
こんなことをされては折れるしかないだろう、苦虫を嚙み潰したよう顔をして、嫌々、真紘は部屋を貸すことを承諾したのだった。
そしてその恐ろしいエレベーター騒動の二日後に、あれが悪夢でないといわんばかりのメールをもらったのである。
玄関横のがらんとした空き部屋に、三つの大型段ボールが鎮座する。
(ちゃんと受け取って部屋に入れたから、これでいいでしょう)
(中の確認は、しない!)
(頼まれてもいないし、プライベートなことでもあるし)
もうこれで充分だと、再度段ボールを確認して、真紘は部屋の扉を閉めた。
だが、ピンポーンとインターフォンがなり、そうはさせない。これには身に覚えがあったから、素直に真紘は応答した。
インターフォンから確認すれば、予想どおり宅配業者である。お荷物を届けにあがったと告げる。
今から降りていきますと真紘が一階エントランスホールへいけば、台車に大箱を三つ乗せた配達員が待っていた。この荷物、実はすべて北峰のもの。
真紘は管理人に断りを入れて、配達員に部屋まで運んでもらった。
実は一昨日、真紘は北峰からこんなメールをもらっていた――土曜午前着で俺の荷物を送ったから、玄関に一番近い部屋へ入れておくように。
北峰とは勤務初日の退勤後に、エレベーター内で「部屋を貸せ!」「嫌だ、貸さない!」と押し問答した。
このバトル、最終的に真紘は負けた。なぜなら、エレベーターパネル前に北峰が陣取っていたから。
エレベーターがどこかのフロアに止まっても、北峰はすぐに「閉」を押した。決してエレベーター内に人を入れない。さらに一番遠い階のボタンを即座に押しては、箱を動かしてしまう。真紘が同意するまでは、これを永遠に続けると脅しもする。エレベーター空間を使った監禁である。
こんなことをされては折れるしかないだろう、苦虫を嚙み潰したよう顔をして、嫌々、真紘は部屋を貸すことを承諾したのだった。
そしてその恐ろしいエレベーター騒動の二日後に、あれが悪夢でないといわんばかりのメールをもらったのである。
玄関横のがらんとした空き部屋に、三つの大型段ボールが鎮座する。
(ちゃんと受け取って部屋に入れたから、これでいいでしょう)
(中の確認は、しない!)
(頼まれてもいないし、プライベートなことでもあるし)
もうこれで充分だと、再度段ボールを確認して、真紘は部屋の扉を閉めた。