余裕な後輩くんは,一途に先輩を想う。
やがて,通ってきた各学校と同じ音でチャイムが鳴る。

昼休憩の時間だ。

私はゆっくりと顔をあげて,ふーーと息を吐いた。

伸びをすると,やはり肩が痛い。

小学生が憧れがちな回る椅子が,ギィと音をたてる。

ぽえぽえとしていたら,まだ動く気配のない後輩を見た。



「休憩だよ」



集中しているようで,丸まった背中に声をかける。

すると彼女は目を丸くして



「あ…えへへ。すいません,また」



と恥ずかしそうにして,私に微笑んだ。

木村さんは可愛い。

もちろん声や動作,容姿の話だけではなくて。

彼女なりに気にしているのか,私に仕事を渡した後はこういう面が顕著に現れる。

どうにもほっとけない。

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