余裕な後輩くんは,一途に先輩を想う。
ふりふりと手を振って,私は廊下へ出た。

片手に持ったコンビニ袋が,しゃかしゃかと音をたてる。

途端に,鈍い痛みが腹部に走った。

……確かに,何かだるい気はしていたと思う。

けれど,それは全部佐藤くんのせいだと思っていた。

座っているだけでは気付けなかった痛みに,私は顔を歪める。

ーとうとう来たか。

生理が。

お姫様の日なんてメルヘンチックな事を言う人もあるが,それどころではない。

少し遅れていたそれに,備えたナプキンはちゃんとしている為汚れの心配はない。

が。

何これめっっっちゃ痛い…!

来るのが遅かったからだろうか。

学生時代,ただでさえ痛かった中でのランニング中に来た痛み位ひどい。



「うぅ…」



こんな姿,私に幻想を抱いてる上司·社員には見せられない。

今思えば,佐藤くんを昨夜任された理由もここにある気がする。

桜島さんなら平気でしょ。

何も起こるはずがない。

ちゃんと対処してくれる。

周りと自己意識のギャップに,私はあほだ……と今さら気づいた自分に呆れた。

よろよろと近くにある外の自販機まで寄って,その横に手をつく。

ゆっくりと長い息を吐けば,一瞬だけましになるような気もした。

どさり……と,結局私はコンビニ袋から順にしゃがみこむ。

あーどうしよ。

痛いわこれ。
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