余裕な後輩くんは,一途に先輩を想う。
「先輩? 大丈夫そ?」

「さ,とうくん」



太陽が眩しくて,所々かげっているけれど。

それは確かに佐藤くんの形をしていた。



「いや,ちょっと……とにかく何でもないから。大丈夫。佐藤くんは?」

「俺,お茶忘れちゃって」

「そう,ごめん。すぐ退くから」

「いーよ。そこ邪魔でも何でもないし」



許しているからか何なのか。

彼は基本,私だけにため口。

今まで気にしたことなんて1度もなかったのに,気になるのはきっと。

ここが会社だと言う緊張感が解けてしまいそうだから。

がこん。

何かが落ちる音がする。

それはもちろん,佐藤くんが何かを買った音。

意地で立ち上がろうとしていた私に,彼は。

身体の右側に重心を置いた私にほっとれもんとやらを差し出した。

…何?
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