余裕な後輩くんは,一途に先輩を想う。
『先輩……』



はぁ,と片手で口を覆う。

中学生男子みたいな反応をしてしまった。

デパートに行けば平然と並んでいるし,実家に帰れば姉のも含め平然と干されている。

目の前で着けている人間を,見たことが無いわけでもない。

なのに。



『下着くらい,目の届かない所にやってくれ』



キッチンの壁のへり。

そこに靴下やら何やらと共に干されていたそれを見て,俺は人生で1番切実に思った。

俺じゃなかったら,そう考えるだけでも凄く嫌だし,見てしまった俺の罪悪感もすごい。

そのあとも紳士的に意識してそこを見ず,支度して。

俺は家へと徒歩で帰った。
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