余裕な後輩くんは,一途に先輩を想う。
「あー」



先輩の真っ赤な顔が,頭から離れない。

とんだ重症だと思う。

落ち着いて考えてみれば,言ったことに後悔はない。

どうせ先輩が欲しいことに変わりはないし,好きだと自覚したその時からずっとそう。

遅かれ早かれ同じこと。

必要以上に慎重になったのは。

先輩がたまに,絶対に趣味じゃなさそうな男物のデカイTシャツを着てくるから。

現に,そうゆう噂も流れている。

どうやったら,確実に振り向いて貰えるか。

俺の頭はそんなんばっか。



「ん? さーとぉってばまた1人で何やってんの? 桜ちゃんは?」



身体の力が抜けてぐでぐての俺に,同期の男が声をかける。

そんなんばっかだな,お前。

と「あ"~?」なんて適当に返事をすれば。

そいつはうげっと顔をしかめた。

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