余裕な後輩くんは,一途に先輩を想う。
「あ,そう言えば俺,今日もまだお茶買ってない。先行くね,先輩」



佐藤くんが急ぐように言う。

別にどうせ通るのだから,その時買えばいいのに……

いつの間にか視線が下がっていて,返事をすれば顔をあげなくてはいけなかった。
 
自販機,それと共にあの時の記憶が蘇る。

私を1度振り返り,彼は行ってしまう。

過去似たような事があったなと思うと,それも理解できた。

あの時は確か…



『買ってる間に先輩行っちゃったら,一緒にいられない』



そんなような事を言っていた気がする。

それくらい待つに決まってるのに。

あれも,もしかして含みがあったのだろうか?

まさか,ね。

どうせ最近思い至っただけに決まってる。



「…可愛いですよね,絵莉花さん」

「わっ」



いつの間にか横に,誰かがいた。
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