余裕な後輩くんは,一途に先輩を想う。
とうとう自宅のマンションに着いてしまって,ガチャリと鍵を差し込む。
玄関で自分の靴を脱ぎ,佐藤くんが頭をぶつけないようバランスをとりながら彼の靴も取り上げた。
まるで幼子の面倒でも見ている気持ちになる。
けれど,そんなこともどうでも良くなるくらい。
私の心臓は大きな音を立てていた。
これは,人命救助よ。
そう,人命救助。
行く宛のない憐れな後輩を助けるの。
後で拉致だのなんだの言ったらぶっ飛ばしてやるんだから。
「~っも~」
ついに佐藤くんの体重を支えられなくなって,私は廊下に佐藤くんごと崩れる。
なんとか壁で身体を支えた私は,少女のように情けない声を発した。
いくら男性とは言え,彼は酔って何も出来ない状態。
それに年の差が普通化してきたとは言え,私と彼では5つも違う。
そしてなにより……
佐藤くんなら私なんか襲う程困ってないはずだもの。
肩にかかる,さらさらと柔らかい髪。
よくよく見ると少しだけ垂れている目。
その右目の端より下に見える小さなほくろ。
一生モテ期みたいな彼の顔を見て,私は言い訳を重ねた。
じゃなきゃ,こんな状況で平静でなどいられない。
玄関で自分の靴を脱ぎ,佐藤くんが頭をぶつけないようバランスをとりながら彼の靴も取り上げた。
まるで幼子の面倒でも見ている気持ちになる。
けれど,そんなこともどうでも良くなるくらい。
私の心臓は大きな音を立てていた。
これは,人命救助よ。
そう,人命救助。
行く宛のない憐れな後輩を助けるの。
後で拉致だのなんだの言ったらぶっ飛ばしてやるんだから。
「~っも~」
ついに佐藤くんの体重を支えられなくなって,私は廊下に佐藤くんごと崩れる。
なんとか壁で身体を支えた私は,少女のように情けない声を発した。
いくら男性とは言え,彼は酔って何も出来ない状態。
それに年の差が普通化してきたとは言え,私と彼では5つも違う。
そしてなにより……
佐藤くんなら私なんか襲う程困ってないはずだもの。
肩にかかる,さらさらと柔らかい髪。
よくよく見ると少しだけ垂れている目。
その右目の端より下に見える小さなほくろ。
一生モテ期みたいな彼の顔を見て,私は言い訳を重ねた。
じゃなきゃ,こんな状況で平静でなどいられない。