余裕な後輩くんは,一途に先輩を想う。
困惑に,彼女の周囲が揺れた。

私も「えっ」と顔をあげる。




「なんでですか! 贔屓目なしに,私から見ても優良物件なのに!! そのくせ佐藤くんとの関係に照れるって……中学生ですか?!」



待って,待って木村さん。

私ね,聞いて。

私,私……

1度も



「佐藤くんに返事,してない……!」



絶対にありえないって思っていながら,1度も彼を拒否してない。

それどころか,一緒にいる彼を容認してたりもして……

私,もしかして,もしかして。

少しくらいありかもって,思っちゃってるの?



「それ,言われたのってちなみにいつなんですか……?」



恐る恐る,触れてはいけないものに触れるように尋ねられ,私も記憶をたどりながら具体的な日にちを伝えた。

途端にうげっと可愛い顔を崩される。
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